国内株式の売買単位が2018年10月1日までに100株に統一された。2007年11月時点では8種類の売買単位が存在していたが徐々に集約され、最終的には1種類に統一された。どのような方針・目的があり統一が行われるのか、複数の売買単位が存在するとどのような問題があるのか、また売買単位が統一されると我々投資家にはどのような影響があるのかをお伝えしていく。

売買単位統一の背景と全国証券取引所の方針

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(写真=PIXTA)

東京証券取引所をはじめとする全国の取引所では、2007年11月より売買単位を100株にするための取り組みを行ってきた。それまで8種類 (1・10・50・100・200・500・1,000・2,000) あった売買単位を統一しようという取り組みである。大きな目的としては「投資家の利便性の向上」「国際競争力の強化」「株式の流動性の向上」の3つが挙げられる。

売買単位が統一されることで売買代金 (株価×売買単位) の把握や複数の銘柄比較が容易となる。国内はもちろん海外投資家からの資金流入が見込むことができ、競争力の向上も期待できる。

全国証券取引所の方針として、株式の購入代金を50万円以下にするよう上場会社に依頼をしている。投資家・上場会社双方に影響があるのだが、特に投資家にとってどのような影響があるのだろうか、3つのパターンに分けて解説しよう。

(1) 売買単位のみ変更されるパターン

1,000株の売買単位が100株に変更されるパターンについて。例えば売買単位が1,000株で株価5,000円の株式を購入する場合、最低500万円の資金が必要となるわけだが、100株に変更されることにより最低投資金額が50万円となる。投資へのハードルが低くなることにより、より多くの投資家が投資の機会を得られることになる。流動性が向上し、売買が活発に行われるようになり、市場の活性化にもつながっていく。

すでに該当株式を保有している投資家への影響については、売買単位が変更されるだけで持ち分の比率が変わるものではないため、保有株式の価値に影響が出るものではない。また議決権の付与が100株あたり1個となるため、従来よりも多くの議決権を得ることができるようになる。

(2) 株式分割が行われるパターン

買単位がすでに100株であっても最低投資金額が50万円を超えてしまう銘柄で行われるパターンである。例えば8,000円の株価の売買単位が100株だった場合、最低投資金額は80万円となり、取引所の方針にそぐわなくなる。このような場合に1株を10株とする株式分割を行えば、1株あたりの株価が理論上800円となり最低投資金額が800円×100株=8万円となる。

(1) 同様に少額からの投資が可能となり、新たな投資家の市場への参加も期待できる。そのほか、すでに該当株式を保有している投資家にとっては株価が10分の1となる一方、保有株数が10倍となるため、流動性が向上することによって株価上昇のメリットを享受できる可能性もある。また、保有株の一部を利益確定し、一部を優待目的で保有するといった投資戦略の多様性にも繋がるだろう。

(3) 売買単位の変更と株式併合が同時に行われるパターン

売買単位が1,000株から100株に変更されれば最低投資金額は10分の1に下がる。ただし同時に10株を1株とする株式併合が行われた場合には理論上の株価は10倍となり、従来と最低投資金額は変わらなくなる。また売買単位は10分の1に変更をして、5株を1株 (あるいは2株を1株) とする株式併合を行うパターンもある。この場合の株価は従来の5倍 (あるいは2倍) 、最低投資金額は従来の2分の1 (あるいは5分の1) となる。

このように、売買単位の変更と同時に株式併合を行うことによって最低投資金額を調整することができ、取引所の方針に合わせることが可能となる。理論上、最低投資金額は上がることにはならないので新規投資家の参加も見込めるほか、該当株式を保有している投資家にとって資産価値は下がらずに、従来よりも流動性が高まることにより株価上昇のメリットを享受できる可能性もある。

より多くの投資家の参加を促し、競争力の高い市場を目指して

売買単位が統一されることで既存の投資家はもちろん、これから市場に参加する投資家にとってもメリットのある市場が形成されていくと考えられる。より多くの投資家が参加することで市場が活性化するとともに、国内外から見ても魅力ある市場となり、日本経済にとってプラスに繋がることが期待される。(提供:大和ネクスト銀行


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