東京株式市場の波乱が続いています。日経平均株価は10/2(火)に年初来高値を付けた後は下落に転じ、10/15(月)の取引時間中安値まで8.9%も下落しました。その後10/17(水)までは反発局面となりましたが、10/18(木)と10/19(金)には続落となり、一時は10/15(月)の安値を割り込む展開になっています。

そうした中、10/10(水)に決算を発表した安川電機(6506)が業績予想の下方修正を発表しました。さらに、10/18(木)には、ジャスダック市場に上場している精密減速機メーカーであるハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が売上高および受注の減少を発表しました。世界的な設備投資動向を反映するこれらの企業の業績悪化は、企業業績が端境期を迎えていることを示していると考えられます。

このように、株価が再び波乱に転じる中、企業業績は踊り場を迎えようとしています。10/22(月)からは、2018年7~9月期決算発表が本格化してきますが、投資家としてはどのようなスタンスで臨むべきでしょうか。「日本株投資戦略」では、決算発表が終ったばかりの2月決算銘柄にスポットを当ててみました。2018年6~8月期の決算発表終了直後で、「決算リスク」は当面後退したと考えられる上、好業績が今後の株式市場で評価され得る銘柄も少なくないと思われます。これらの銘柄が、株式市場全般の波乱でツレ安すれば、投資チャンスとなるかもしれません。

「決算リスク」後退の好業績銘柄はコチラ

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(画像=PIXTA)

それでは早速、好業績の2月決算銘柄について、スクリーニングを行ってみたいと思います。条件は以下の9点です。

(1)東証上場銘柄であること
(2)アナリスト2名以上が業績予想を公表している銘柄であること
(3)時価総額300億円以上の銘柄であること
(4)2月決算銘柄で、第2四半期(2018年6~8月期)の決算発表が終了した銘柄であること
(5)第2四半期累計(2018年3~8月期)の営業増益率が通期(2019年2月期)会社予想営業増益率を上回っていること
(6)決算発表で通期の業期予想下方修正を発表した銘柄でないこと
(7)通期予想営業増益率について、市場予想(市場コンセンサス)が会社予想を上回っていること
(8)予想EPS(一株利益)の市場コンセンサスが過去4週間で下落していない銘柄であること
(9)来期(2020年2月期)の市場予想営業利益(市場コンセンサス)が増益予想であること

上記の全条件を満たした銘柄を、(9)の来期予想営業増益率の高い順に並べたものが表1となります。これらの銘柄については、「決算リスク」が当面後退したと考えられる上、好業績が今後の株式市場で評価され得る銘柄も少なくないと思われます。また、これらの銘柄が、株式市場全般の波乱でツレ安すれば、投資チャンスとなるかもしれません。

日本株投資戦略,決算リスク,好業績銘柄
(画像=SBI証券)

表1:「決算リスク」後退の好業績銘柄はコチラ
コード / 銘柄名 / 株価(10/19) / 第2四半期増益率(前年比) / 今期予想営業増益率(会社予想) / 今期予想営業増益率(市場予想) / 来期予想営業増益率(市場予想)
<2292> / S FOODS / 4,730 / 10.6% / 9.5% / 11.8% / 14.0%
<9716> / 乃村工藝社 / 2,635 / 2.0% / 1.6% / 9.5% / 11.2%
<7453> / 良品計画 / 30,500 / 11.5% / 10.4% / 10.5% / 10.5%
<3543> / コメダホールディングス / 2,349 / 5.5% / 5.0% / 6.2% / 8.0%
<6432> / 竹内製作所 / 2,483 / 11.1% / -2.4% / 5.6% / 7.7%
<2670> / エービーシー・マート / 6,500 / 4.1% / 1.2% / 2.7% / 4.2%
<9842> / アークランドサカモト / 1,488 / 4.4% / 3.3% / 4.3% / 3.1%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。なお、業績予想等については、レポート作成時以降修正される場合がありますので、ご注意ください。

決算発表でリスクを取らないことも重要

図1は上場企業の決算発表スケジュールを発表社数について示したものです。発表社数のピークは11/9(金)になりそうですが、ソフトバンクG(9984)やトヨタ(7203)の発表が予定されている11/5(月)や11/6(火)も質的な意味では、ピークと言えそうです。

冒頭でご説明したように、安川電機(6506)が業績予想の下方修正を発表し、さらに、10/18(木)には、ジャスダック市場に上場している精密減速機メーカーであるハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が売上高および受注の減少を発表しました。世界的な設備投資動向を反映するこれらの企業の業績悪化は、企業業績が端境期を迎えていることを示していると考えられます。米中貿易摩擦激化の影響が表面化してきた可能性もありそうです。

仮に、投資した銘柄またはすでに保有した銘柄について、業績予想下方修正が発表された場合、株価が大きく下がる可能性があります。したがって、投資に際しては、企業業績に対する分析を十分行うことが必要です。しかし、企業訪問等を行なえない個人投資家が外部からの分析で対応することは極めて困難であると考えられます。したがって、決算発表のタイミング到来した時、保有銘柄のポジションについては細心の注意が必要であると考えられます。

今回、スクリーニングで抽出した銘柄は決算発表が終了した直後であり、業績予想修正による株価変動リスクは小さいと考えられます。むしろ、決算発表前で持ち高を落としていた投資家が再度、買いポジションを増やしてくる可能性も十分あると考えられます。特に、全般的な株価下落でツレ安した時は、投資好機になる可能性もありそうです。

図1:決算発表スケジュール(発表社数)

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※当社Webサイト「決算発表スケジュール」を用いてSBI証券が作成。10/19(金)現在の情報で作成されたもので、今後変更される可能性もあります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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