一生のうちで一番大きな買い物といわれるマイホーム。購入時に住宅ローンを利用する人も多いだろう。そこで気をつけたいのが、マイホーム購入時におけるローン借入額と自己資金の割合だ。特にわかりやすいのが頭金をいくらにするのがよいかということだ。頭金を増やして借入額を少しでも減らすのがよいのか、フルローンにして自己資金は手元においておくべきかと悩むのではないだろうか。

そこで、今回は愛媛県民の平均貯蓄額から見た住宅ローン戦略を考えていこう。

愛媛県民は貯金が多い?

貯蓄,住宅ローン
(画像=ShutterOK/Shutterstock.com)

総務省の「平成26年全国消費実態調査」によると、2人以上の世帯の1世帯当たりの貯蓄現在高の1位は東京都で約1,967万円、愛媛県は約1,262万円となっている。また、全国平均は約1,565万円である。このことから愛媛の貯蓄額は平均よりも少し下回っていることがわかる。

ここで忘れてはいけないのが、マイホーム建築時には建物と土地がワンセットになっているということだ。東京都と愛媛で比較する際、地価が大きく異なることを忘れてはいけない。

2017年の公示価格によると、東京都で最も地価の高い地区では平方メートルあたり370万円だ。一方、松山市の地価は高い地点でも平方メートルあたり20万円。これに国土交通省の一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較をもとに、マイホームを建てる際の地価を考えると下記の通りになる。

・東京都 64.48平方メートル×370万円=2億3,857万6,000円
・愛媛県 102.45平方メートル×20万円=2,490万円

東京都と松山市の最も高い地価の区域にマイホームを検討すると考えた場合、建物の建築費用が同じ金額だと仮定すればマイホームの土地代だけで約10倍もの違いがあることに気づくのではないだろうか。

預貯金を使う?全額借りる?住宅ローン戦略を考える

先述のように、愛媛県民の貯蓄額は全国からみて平均よりやや低いことがわかった。仮に、愛媛県平均とほぼ変わらない1,000万円ほどの預貯金が手元にあったとしよう。マイホーム購入時、この1,000万円をどれだけ頭金として利用するかによって、ローンの返済総額は次のように変化する。

4,000万円の戸建マイホームを35年ローンで購入した場合

※変動金利2.800%、元利均等方式、ボーナス払いなしとする。

頭金      借入金額(元金) 毎月の返済額   返済総額
 1,000万円   3,000万円    11万2,132円   4,709万5,440円
 600万円    3,400万円    12万7,083円   5,337万4,860円
 200万円    3,800万円    14万2,034円   5,965万4,280円
 0円       4,000万円    14万9,510円   6,279万4,200円

このように、頭金を増やせば増やすほど返済総額は低くなる。とはいえ、貯蓄分を全て購入資金に回すことは避けたい。なぜなら、マイホームを購入した後の引越し代や家具購入代、不動産取得税の支払いなどでまとまった資金が必要になるからだ。毎月の支払額と総支払額だけではなく、マイホーム購入後にかかる急な出費に対応できるだけの貯蓄は確保しておこう。

リフォーム資金を忘れずに

住宅ローンを利用する際には借りられるだけ借りるのではなく、マネープランに合わせて無理なく返済できる金額を借りるということを忘れてはならない。年収と現在の負債残高から簡単に「いくらまで借りられますよ」と言われることもあるだろう。

しかし、これを鵜呑みにしてしまうと、毎月のローン返済で生活が苦しくなり、最終的にはマイホームを手放すことになるおそれもある。家計の支出は毎月固定金額ではない。ある月は出費が少なく、ある月は冠婚葬祭で出費がかさむという自体は起こり得る。

出費の多い月が続いてしまっても、毎月住宅ローンを返せるのか考えよう。毎月の収入と支出がイコールになることだけは避けたい。

マイホーム購入後には、リフォーム資金も検討しよう。新築であっても10年~15年のサイクルでリフォームが必要になる場合もある。30年経てばマイホーム設備の交換も必要だろう。

こういった将来の出費に備えて、毎月しっかり積み立てられるだけのゆとりは持っておきたい。子どもにかかる学費、車の買い替えなども念頭に入れ、家族が安心して暮らせるよう、住宅ローンの借入比率は上げすぎないように気をつけるのがよい。

住宅ローンのことは金融機関へ相談を

住宅ローンを選ぶ際、自己判断のみで借入をすると金利以外の保証料や手数料などによって想定外の支出が必要になる場合もあるがある。そのため、マイホーム購入を検討するときには金融機関のHPをチェックしたり、セミナーへ参加したり、店頭に足を運んで実際に疑問点を解消したうえで、自分の住宅ローンの総支払額や毎月の返済額をシミュレーションしてもらうのがよいだろう。

大きな買い物のひとつのマイホーム。住宅ローンは家族にとって最善の道を選ぶことが大切だ。(提供:iyomemo

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