仮想通貨を購入したり、第三者から受け取ったりするために必要になるのが「ウォレット」だ。ソフトウォレット(ソフトウェアウォレット)とハードウォレット(ハードウェアウォレット)の2種類がある。
ソフトウォレットはパソコンやスマートフォンのアプリ、ブラウザを使ったソフトウェアなどで仮想通貨を管理するもの。手軽さや使いやすさがメリットとして挙げられるが、ハッキングなどのリスクもあり、近年は二重、三重のセキュリティを施すなどの工夫がされている。
ハードウォレットはソフトウォレットとは異なり、物理的な小型機器などで仮想通貨を管理するものである。実際には、ハードウォレットの中には「秘密キー」が入っているだけだ。この秘密キーを使って仮想通貨を実際に管理するためには、パソコンなどの端末にこのハードウォレットを接続し、ウェブアプリ上で仮想通貨の送金などの処理を行う。
ホットウォレットとコールドウォレットって?
ウォレットはセキュリティレベルの違いなどから、「ホットウォレット」と「コールドウォレット」に分類されることもある。ホットウォレットは、手軽に使えるがハッキングのリスクも大きいという特徴があり、具体的にはスマートフォンやパソコンのブラウザやアプリで簡単に仮想通貨を保存できるウォレットを指す。ソフトウォレットはホットウォレットに含まれる。
コールドウォレットは、セキュリティ面に配慮されているものを指す。ハードウォレットはコールドウォレットの一種だ。このほか、紙に印刷して仮想通貨を保存するペーパーウォレットもコールドウォレットの一種に分類される。
ペーパーウォレットを利用した場合、ハッキングによる不正な引き出しなどが行われるリスクは基本的にはゼロだ。一方で、紙であるために経年劣化をしていくことや、紙自体を物理的に第三者に盗まれてしまった場合は保管していた仮想通貨を失うことになるのがデメリットだ。
このように各ウォレットにはメリット・デメリットがある。万が一に備えて、さまざまな種類のウォレットで仮想通貨を分散管理している人もいる。
市販されているハードウォレット(1) レジャーナノ
「レジャーナノ(Ledger Nano)」は市販されているハードウォレットの一つ。フランスのLedger社が販売元で、USBメモリーのような形状が特徴だ。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、リップル(XRP)など、2018年5月時点で世界的に広く流通されている仮想通貨を含む27種類を保管・管理することができる。
レジャーナノを購入した場合、実際に仮想通貨の送金や受け取りを行う際にはパソコンにUSBで接続して行う。WindowsでもMacでも利用可能だ。レジャーナノをパソコンからはずしておけば、外部からハードウォレットであるレジャーナノに一切アクセスができない。ほかのハードウォレットにも共通することだが、セキュリティレベルが高いことが強みの一つとなっている。
レジャーナノはビギナープランとして1個のみの販売もしているが、スタンダードプランでは紛失などに備えるバックアップ用も含めて2個セットで割引販売している。分散管理をしたい人向けには、プロプランで4個セットで割引価格で販売している。
市販されているハードウォレット(2) トレザー
トレザー(TREZOR)もレジャーナノと同様に市販されているハードウォレットで、海外においてもユーザーが多い。レジャーナノと同様にパソコンにUSBで接続して利用する仕組みとなっており、こちらもWindowsでもMacでも利用できる。
ビットコインを保管・管理することができ、小型機器についている2つのボタンを使って操作を行う。暗証番号が合わないとビットコインを送金することができず、仮にパソコンに接続中にハッキングなどの被害を受けても、トレザーの本体が手元にある限り第三者が仮想通貨を不正に引き出すことはできない仕組みだ。
ほかにもウォレットは存在 特徴を理解して選択を
今回紹介したもののほかにも、「Keep Key」「Bitlox」「Digital Bitbox」などいくつかの有名なウォレットがある。日本発のハードウォレットとして「AndGo」も開発が進んでいる。
仮想通貨をどう安全に保管するかは、仮想通貨を保有する上で非常に重要な問題だ。手軽さとセキュリティレベルを考慮して、クチコミなどを参考にしながら、自分に合うものを見つけたい。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES
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