間違いとは言えないが、踊らされると痛い目に

転職35歳限界説
(画像=THE21オンライン)

これまでよく言われてきた「転職35歳限界説」。最近はこの壁が崩れ始めたという話を聞くが、果たして本当なのだろうか。ミドル専門の転職コンサルタントの黒田氏にその現実と「カラクリ」をうかがった。

「35歳は転職の限界じゃない!」は本当か?

転職の世界には、35歳を超えると一気に求人が減り、転職が難しくなるという「35歳限界説」があります。ところが、近年、人手不足が叫ばれる中で、35歳限界説はすでになくなったと主張する人たちが現れています。

その主張を裏付ける根拠も出てきています。総務省が2017年2月17日に発表した16年の労働力調査を報じた日本経済新聞の記事を見ると、

・45~54歳の転職者数は50万人と、統計を遡れる02年以降で最多。人数ではまだ25~34歳(77万人)を下回っているが、3年間で10万人も増加しテンポが加速。背景にベテラン管理職らのニーズの高まり。

・人材紹介大手3社の紹介実績によると、41歳以上の転職者数は16年4~9月期に3108人。前年同期比で27・4%増、世代別では25歳以下に次いで高い伸び率。

とあり、確かに40代以降の転職者は増加傾向にあります。しかし、それほど事態は単純ではありません。

日本の転職マーケットを俯瞰する

日本の転職マーケットの標準は120万人ほどですが、分かりやすくするために100万人だと仮定します。そのうち、企業がお金を払う有料のサービスを使って転職が決まる人がおよそ4割、40万人、無料のサービスを使って転職が決まる人がおよそ6割、60万人です。

企業がお金を払う有料サービスの代表が、「求人広告」です。新聞や求人サイトに企業がお金を払って求人情報を掲載してもらいます。求人広告は、企業から見るとバクチで、多くの応募者が集まり、いい人を複数名採用できることもあれば、採用ゼロに終わって、掲載料を捨てることになる可能性もあります。

次に、「人材紹介」「転職エージェント」と呼ばれるサービスがあり、これは入社が決まったら年収の30パーセントの手数料を払うといった成功報酬になっていることが多いと思います。企業が支払う金額は高いですが、お金を捨てることは避けられます。

あと、ごく一部に「ヘッドハンター」というサービスがあります。ヘッドハンターは、求職活動など行っていない人にも声をかけますから、転職マーケットの外側だと言うこともできますし、そうでないとしても本当にごく一部、統計資料はありませんが、人数にして年間1000人ぐらいのものだと思います。

無料のサービスを使って転職が決まるというのは、学校の先輩や親類縁者が声をかけて転職が決まる「縁故」と「ハローワーク」が代表です。人数で言うと、有料の求人広告で30万人、人材紹介で10万人、縁故で25万人、ハローワークで25万人、あとは自社のホームページ経由などで10万人ぐらい。これで合計100万人です。