マクロとミクロのギャップを把握しておこう

この他にも、求人市場が活況になると、「これまで需要が低かった業種・職種」でも需要が改善します。そうした報道の裏で、「もともと需要が高かった業種・職種」はそれ以上に需要が急騰しており、平均した全体の数字を見ると、「これまで需要が低かった業種・職種」の実態以上に改善しているように見えるということも多々あります。

こうしたマクロとミクロのギャップ、スキルごとに大幅に異なる需要のベースラインの状況をしっかり把握しておくことが、一人ひとりの転職活動という観点では非常に重要なポイントとなってきます。

もちろん、これらの言説も35歳限界説はなくなったというのと同様、まったくの間違いではありません。確かに40代の求人も増えていますが、だからと言って、40代の転職が引く手あまたの売り手市場に変わったかと言えば、まったくそんなことはなく、40代での転職がそれほど簡単ではないのは、現在も変わらない事実です。

だからこそ、40代以降の転職を考えている人は、その「現実」としっかり向き合い、悔いのない転職活動をしてほしいと思います。

(『40歳からの「転職格差」』より一部抜粋・編集)

黒田真行(くろだ・まさゆき)
ミドル世代専門転職コンサルタント/ルーセントドアーズ[株]代表取締役
1965年生まれ。89年、関西大学法学部卒業後、リクルートに入社。B-ing、フロム・エーの関西版編集長などを経て、2006年よりリクナビNEXTなどの編集長を8年間務める。12,000人を超える転職者・人事責任者などと接し、転職活動のノウハウや日本の中途採用市場、マッチングの構造に精通。14年、ルーセントドアーズを設立。近著に、『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)。(『THE21オンライン』2018年07月16日 公開)http://shuchi.php.co.jp/the21/

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