NISAの非課税期間は最長で5年間だ。この5年間は個々の商品の保有期間ではなく、投資した年から数えて5年目の年末が非課税期間終了となる。保有している金融商品の価格によっては非課税期間の終了時の扱い方で不利に働く場合があるため、その選択について理解しておこう。

NISAの非課税期間終了時の3つの方法とは

nisa,期間
(画像=designer491/Shutterstock.com)

NISAの非課税期間終了時の選択肢は3つある。どのような方法を選ぶかは終了時の価格によって変わってくるので、それぞれのポイントをおさえておこう。

ロールオーバーする

ロールオーバーは翌年の非課税枠を使って非課税期間をそのまま5年間延長する方法である。終了時の価格分の非課税枠を使うため新規購入できる非課税枠が少なくなってしまい、仮に終了時の価格が120万円以上だと翌年はNISA口座で新規の投資を行うことができなくなる。

その一方でロールオーバーする金融商品の価格が非課税期間終了時に120万円を超えていた場合、そのまま非課税期間を延長できるのはメリットの1つである。新規の商品に入れ替えることはできないが、非課税枠120万円のNISAで実質120万円を超えた投資が継続できるということだ。

特定口座に移す

前述のロールオーバーには書面の提出等の手続きが必要だが、特段の手続きをしない場合は課税口座に自動的に移る。NISAと同じ金融機関に特定口座(年間取引報告書を金融機関が作成してくれる口座)がある場合は特定口座に、もし特定口座を開設していない場合は一般口座に移ることになる。いずれにしても課税口座に移った後は非課税ではないので配当や譲渡益に税金がかかってくるのだ。

保有はし続けたいが、翌年のNISA非課税枠を別の商品で利用したいという時はこの特定口座に移した運用を続けることになる。この場合は非課税期間終了時の価格が新たな取得価格になる点がポイントだ。

非課税終了時の価格が購入時より下がっていた場合は新たな取得価格が購入時より低くなってしまう。するとその後値上がりして売却した場合、その価格が購入価格を下回っていたとしても譲渡益が出たことになり課税されてしまうのだ。

逆に非課税終了時の価格が購入時より上がっていれば新たな取得価は購入時より高くなる。するとその後の売却において購入時より高い価格だったとしても新たな取得価格を下回っていれば譲渡損となりほかの株式等と損益通算できる。

非課税終了時の価格が購入時の価格を下回るようなときは、課税口座に移すかどうか慎重に考えた方がよいだろう。

非課税期間終了までに売却する

特にその商品を保有し続けなくても構わず翌年の非課税枠を新たな投資に使いたいという場合には、非課税期間終了までに売却してしまうという方法もある。

売却時の価格が購入時の価格を下回っていても、NISAではその譲渡損をほかの株式等と損益通算できないというデメリットはあるが、課税されることもなく換金し新たな投資へと使うことができる。譲渡益が出るような状態なら特定口座に移管される前の方が課税されない分、使えるお金が増える。

非課税期間終了時をイメージして投資判断しよう

NISAは利益に課税されることなく投資できるが、その非課税期間終了時の状況によってはNISA制度の利用が不利に働いてしまうことがある。

特に特定口座に移った場合に、取得価格が購入時の価格ではなく非課税期間終了時の価格に変わってしまうところはしっかり理解しておこう。非課税期間終了間際になってどうするか判断するのではなく、値動きによって保持するのか売却するのか投資している期間を通じて判断していくべきだ。

文・柴田千青(ファイナンシャルプランナー)/MONEY TIMES

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