消費税率の8%から10%への引き上げは、2019年10月1日から行われることになっています。2019年に住宅や車といった大きな買い物をする予定の人は、今から対策を考えておきましょう。特に住宅の取得を考えている人には、消費税の引き上げ分だけでも大きな金額になってしまうこともあります。そのため、「なるべく消費税引き上げによる影響を受けないように注文住宅を建設したい」と考えているのではないでしょうか。
ここでは、注文住宅における消費税引き上げへの対応策として、国が行う支援の内容についてご紹介します。
消費増税に伴う注文住宅の経過措置について
2019年10月に予定されている消費税引き上げに伴い、注文住宅の請負契約などに関して、経過措置が設けられています。
注文住宅の経過措置とは
注文住宅では、住宅を建てる契約をしてから引き渡しまで、数ヵ月の期間が必要です。長ければ、半年を超えることもあるでしょう。そのため、これから住宅を建てる人にとって、気になるのが「契約から引き渡しまでに消費税率が変わってしまうこと」です。例えば、2019年6月に契約を交わし、引き渡しが2019年11月になったとき、消費税は「8%が適用されるのか」「10%になるのか」が分からず不安に感じてしまうでしょう。
通常であれば、消費税率は引き渡し時点の税率が適用されます。つまり、経過措置がない状態で上記のように住宅を建てると、消費税率は10%が適用されることになります。そこで、次のような経過措置がとられることになりました。「消費税増税半年前の指定日の前日までに契約した住宅の場合には、引き渡しが消費税増税後であっても、増税前の税率を適用する」というものです。
消費税8%が適用されるためには
今回、消費税の8%から10%への増税は2019年10月1日からなので、その半年前の指定日は2019年4月1日になります。「指定日の前日まで」が経過措置の対象のため、2019年の3月31日までに契約を行えば、引き渡しが2019年10月1日を過ぎたとしても消費税率は8%が適用されます。また、住宅の引き渡し日が消費税増税前の2019年9月30日までであれば、消費税率は8%のままです。
2019年4月から拡充される2つの制度
消費税率の引き上げによって、住宅ローン減税(住宅ローン控除)は2021年12月31日の入居まで延長されることが決定しています。さらに、2018年12月に決定した2019年度の税制大綱に、消費増税に伴う住宅支援策として住宅ローン減税を拡充し、消費税率10%が適用される住宅かつ2019年10月1日から2020年12月末までに入居する場合に限り、住宅ローン減税を受けられる期間を10年から13年に延長することが盛り込まれました。
この場合、当初の10年間は毎年末の住宅ローン残高の1%が控除の対象となり、11年目から13年目については、建物分の購入価格の2%を3等分した額か、年末の住宅ローン残高の1%分の残高のいずれか低い方が控除対象となる予定です。
例えば3,000万円で購入した建物が上記の要件を満たしていた場合、11年目以降は3,000万円の2%にあたる60万円を3等分にした20万円か、もしくは住宅ローンの年末残高の1%が控除されることになります。11年目以降の住宅ローンの年末残高の1%が20万円を超える場合には20万円が控除され、仮に住宅ローンの年末残高の1%が15万円だった場合には15万円が控除されます。毎年、住宅ローンの年末残高は変わるため、11年目以降の控除額も毎年変わる可能性があります。
それに加え、2019年4月から2つの制度が拡充されることになりました。
すまい給付金
すまい給付金は、住宅取得者の収入によって給付額が変動する給付金です。消費税率の10%引き上げに伴い、次のように給付が拡充されます。
消費税8%の場合
収入額 | 給付額 |
425万円以下 | 30万円 |
425万円超475万円以下 | 20万円 |
475万円超510万円以下 | 10万円 |
消費税10%の場合
収入額 | 給付額 |
450万円以下 | 50万円 |
450万円超525万円以下 | 40万円 |
525万円超600万円以下 | 30万円 |
600万円超675万円以下 | 20万円 |
675万円超775万円以下 | 10万円 |
このように、消費税率引き上げに伴い、すまい給付金が受け取れる年収要件の変更や給付額の拡充措置がとられます。
贈与税非課税措置
住宅取得などの目的で資金を贈与される場合、一定額以内であれば贈与税が非課税となる制度があります。これは一定の期間内に直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けて住宅を取得した場合に適用される制度です。住宅取得の契約締結日が2019年3月31日まで(消費税は8%)の場合、バリアフリー性の高い住宅・耐震性の高い住宅・省エネルギー性の高い住宅などいわゆる質の高い住宅ならば贈与額1,200万円までが非課税、一般住宅ならば贈与額700万円までが非課税となっていました。
それが、2019年4月1日からは、質の高い住宅ならば3,000万円まで非課税、一般住宅ならば2,500万円までが非課税と拡充されます。
消費税引き上げ前後で迷ったときにはプロに相談を
注文住宅を取得する際には、消費税引き上げが必ずしも損になるわけではないことが分かりました。すまい給付金は年収要件の幅が広がり、贈与税の非課税枠も大きく拡充しています。贈与を受けて住宅を取得する場合には、消費税引き上げ前と引き上げ後どちらの方が家計の負担を少なくできるのか、金融機関や住宅会社に相談してみると良いでしょう。(提供:MORIZOU online)
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