(本記事は、野口吉昭氏の著書『人生を変える自分の磨き方 思考・言葉・行動・習慣・人格・運命の法則』かんき出版、2018年9月10日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
なぜ、あの人はあんなに続くのか?
ダイエット、英語、禁煙、ウォーキング、ストレッチ……。なかなか続かない。三日坊主。よくて1週間坊主だ。
なぜ、続かないのだろうか?
「ホメオスタシス」という言葉がある。生体の恒常性という意味で、たとえば、体温調整が典型的な例だ。気温が上昇すれば発汗して体温を下げるし、気温が下降すれば震えを起こして体温を上げようとする。
このホメオスタシスは、自律神経によるところが大きい。
自律神経は、交感神経と副交感神経によって構成され、循環器・消化器・呼吸器を稼働させている、自分の意思とは無関係に動いている神経のことだ。
交感神経は、活動神経であり、血圧を上げ、脈を速くし、心と身体を活発化させるもの、副交感神経はその逆の休養神経である。
行動を継続し、習慣にするためには、このバランスを崩さないことが重要だ。適度な運動、ストレッチ、呼吸法、バランスのとれた食事、睡眠などで、交感神経と副交感神経の調整をはかるのだ。
習慣が継続する人は、この交感神経と副交感神経による自律神経の重要性を感覚的に認識している人である。
つまり、自分で設定した目標に対する適度な活動と休養のバランスを大切にすることを知っているのだ。
努力ばかりでは無理。たまには休養も必要。
短時間でダイエットすると多くの人がリバウンドするように、大切なのは、努力と休養とのバランスをとることだ。無理強いは禁物である。
ダイエットも、最初は体重計に乗るだけでいい。ダイエット脳をつくることがスタートだ。そして、それを記録に残す。それから適度な食事制限と適度な運動による第二ステージがはじまる。それもゆっくりでいい。ダイエット脳からダイエットのための食事、ダイエットのための運動にゆっくりと変えていく。そして、計測する。
その計測の喜びを感じはじめると、しだいにピッチが上がっていく。
最初は、副交感神経を重視して、習慣脳をつくる。そして、しだいに交感神経を優位にしていくことで、目標とする習慣が定着していく。
習慣を定着させるには、目標とする習慣の脳?習慣脳をつくることからはじめる必要があるわけだ。
行動が続く人は、習慣脳の重要性を知っているので、そのための準備をすることができる人だ。
「ダイエット・プログラムだ!」「サプリメントだ!」「ダイエット下着だ!」などと、目の前に突然現れたものに飛びつく人のダイエットは長続きしない。
できるだけ小さな目標を設定して、副交感神経を重視しながら習慣脳をつくることからスタートすべきだ。
同じ習慣を続けるための仲間や師匠をつくることも、習慣脳をつくるのには好都合だ。
習慣力の魔法
俳優で画家の片岡鶴太郎氏は、毎朝1時(朝という感じではないが)に起床し、ヨガを3時間行ったあと、2時間かけて朝食を摂るという。その後、水シャワーと身支度に1時間の計6時間を毎朝の日課としている。
基本的に、食事は1日1回。仙人のような精神と肉体に変化している。頭が冴えわたり、切れ味のいい毎日を送れるという。ここまでは、なかなかできない。
努力と休養のゴールデンバランスが、人の「ホメオスタシス(恒常性)」をつくる。
継続には、一定のあきらめも必要だと思う。しかし、習慣脳ができはじめるとその努力のピッチを上げていける。「1万時間の法則」まで達することも可能なのだ。
大切なのは、習慣をつくる仕組みである。
学習であれば、自然に向こうからやってくる仕組みがないと厳しい。
仕組みといっても難しく考える必要はない。
たとえば、読むべき本や雑誌が定期的に送られてくるとか、専門性が高く時事的にドンピシャのニュースメールが届くとか。
私自身が、コンサルタントになりたての1年目に毎日1冊の本が読めたのも、毎日自宅からオフィスまで、片道45分間、各駅停車の電車通勤をしていたからだ。
いつも満員で座れないため、眠ることができない。何もしなければ時間を持て余すだけなので本を読まざるをえない。これも一つの仕組みだ。
また、習慣力をつくる仕組みには、自分へのご褒美も有効だ。
私は10年ほどジム通いを続けているが、それはベンチプレスのおかげだ。
ベンチプレスは、やればやるだけ重いものを挙げられるようになるうえ、大胸筋、三頭筋などが目に見えてついてくる。シルエットが変わるのが自分でもわかる。
これがご褒美となって、継続する力がつくられていく。
継続によって習慣にパワーがつき、やがて魔法になるのだ。