店舗支援のさらなる充実に向けて
――取り扱っているサービスがたくさんありますが、営業の体制はどうなっているのですか?
田村 まず、全国に150カ所の拠点があって、そこに配置されている支店営業が、それぞれのエリアのお客様を担当しています。
また、全国にビジネスアライアンスという部門を作り、専任担当者を80人ほど置いて、不動産業者や設計・内装業者などのパートナーを開拓しています。開業希望者や店舗のリニューアルをしたい方、2店舗目、3店舗目を出したい方は、このようなパートナーを経由して情報を得るケースが多いので、パートナーの皆様からそうした開業希望者情報をいただいています。現在、パートナーは8,000社ほどの登録があり、アクティブなパートナーは約2,000社になっています。
そしてPOSレジの保守や、POSレジから得られた情報、いわゆるBI(ビジネスインテリジェンス)の分析をする、約150人の部門も設けています。POSレジのフォローをしていると、同じオーナーの別の店舗にもUレジを入れていただけたり、隣の店舗を紹介していただけたりするので、この経路でのお申込みの数も多いですね。
電力・ガスのエネルギー事業についても専属の営業を配置していますし、社内連携の仕組みを用いて、全国の支店営業からの情報のエスカレーションも盛んに行き交っています。
――無料の開業支援セミナーに参加する人は、パートナーの不動産業者などからの紹介が多いのですか?
田村 それもありますし、WEBでの告知も行なっています。
――扱うサービスが増えたり、組織が変わったりしたことで、営業の現場に混乱はありませんでしたか?
田村 初めは大混乱でしたよ(笑)。ようやく落ち着いて、結果が出てきているところですね。
――今年10月には、USENと同じく音楽配信事業を手がけるキャンシステム〔株〕がグループに加わりました。キャンシステムの顧客についても、同様の店舗支援サービスを提供していくのでしょうか?
田村 そうですね。現在、協議を進めているところです。
――店舗の総合支援サービスの体制は整ったと言っていいでしょうか?
田村 色々な経営者の方々とお話をしていて、相談事項として一番多いのは、やはり人材の確保です。特に飲食店は、どこもアルバイトが集まらないという問題を抱えています。
バリューサークルでいうと「人材活用」は9時の位置にあるのですが、現時点では、そこだけ当社が提供できる具体的なソリューションがない状態です。そう簡単に自社で展開できるものではないので、他社とのアライアンスなど、なんらかの形でやらなければならないと思っています。
直接の人材活用ではありませんが、省人化によって人手不足を解消するソリューションとして『U-Order』 という新サービスを、先日リリースしました。店員の方を呼び出す「ベル」の機能と、メニューを注文する「セルフオーダー」の機能を融合させたタブレット端末です。
従来型の呼び出しベルでは、お客様の用件のお伺いと配膳の2回の往復が発生しますが、用件をシステムで受け付けることによって配膳だけで済みますし、外国人スタッフの方に多い用件の聞き間違いも防げます。
省人化を推進するソリューションの導入費が高価では本末転倒ですので、初期費用無料、月額利用費だけでご利用いただけるプランをご用意しました。タブレット端末、キッチンプリンター、アクセスポイントのご提供、これらの施工、メニューの登録も含め、無料で対応させていただきます。U-Orderが人手不足の解消の一助になればと思っています。
また、お店をやめるのにもコストがかかるので、原状回復をせず、次のお店に「居抜き」で使っていただけるようにする物件のマッチングも、少しずつ始めています。閉店する方は手元に残る資金が多くなって再挑戦しやすくなりますし、次に入る方も開店資金が少なくて済みます。お客様が閉店する情報を利活用したサービスです。
BI分析をもとに、メニューやプライシング、プロモーションなどの見直しのご提案をするコンサルティングも、これから取り組みたいと思っています。
――今後のUSENの事業展開としては、音楽配信をやりながら、店舗支援を拡大させていく、ということになるでしょうか?
田村 そうですね。ただ産み出したものはしっかりと育ててもいかなければならない。今期はバリューサークルを深めることに注力するつもりです。