地価や新築マンション価格が高くなっているというニュースがよく耳に入ってきます。「高騰」といった表現すら聞かれるほど不動産の価格が上がる中で、マイホームを持つという夢をかなえる手段として、「中古」を考える人もいるのではないでしょうか。中古の住宅購入のポイントはどのようなものなのでしょうか。

新築と中古 住宅市場や価格の比較

中古物件
(画像=PIXTA)

そもそも中古物件はどれくらいあるか見てみましょう。少し古いデータですが、2013年度のデータで新築物件と中古物件を比較してみると、2013年度持家の新設住宅着工戸数が54.4万戸(国土交通省、「平成29年度住宅経済関連データ住宅着工統計」)であるのに対し、同年度に持家として取得した中古住宅数は16.9万戸(総務省統計局、「平成25年住宅・土地統計調査」)です。データソースは異なりますが、これを見る限りでは中古物件の流通量は少なくないといってもいいのではないでしょうか。

また、日本の空き屋率は13.5%あります(総務省、2013年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約)。こちらも2013年度と少し古いデータではありますが、言い換えればおよそ8軒に1軒は空き家であるということです。このため、中古住宅の流通を促進する仕組みが整備されつつあります。

ところで中古住宅は新築よりも安いというイメージがありますが、価格差はどれくらいなのでしょうか。「フラット35利用者調査(2017年度)」によると、新築にかかる費用は、全国平均で土地付き注文住宅が4,039万円、マンションは4,348万円です。これに対して、中古の場合は一戸建てなど2,393万円、マンション2,844万円となっています(住宅支援機構・2017年度フラット35利用者調査)。

あくまで平均額の単純比較で、それぞれ購入条件が異なるため一概に比べられないでしょうが、フラット35のデータでは、中古住宅は新築より1,000万円以上安く購入できるといえそうです。

中古物件
(画像=auじぶん銀行)

リフォーム・リノベするなら補助金を活用

中古住宅は新築より安く購入できそうですが、新築にはかからない費用が必要になることもあります。それはリフォーム・リノベーションの代金です。リフォーム・リノベ済みの中古物件もありますが、購入した物件を「自分の好みかつ、ライフスタイルに合わせてリフォーム・リノベしたい」という人もいるかもしれません。そのため、物件を検討する際、どこをどう変えるかをあわせて考え、見積もりを出してもらいましょう。

せっかく物件を安く買っても、工事代が高額になって「かえって高くついた」ということにもなりかねません。物件購入時に「リフォームやリノベーションの代金がいくらくらいかかりそうか」についてメドはつけておきたいものです。このとき、「リフォーム補助金」が使えないか検討しましょう。これは、既存住宅の省エネ化など、住宅性能を向上させるためのリフォームやリノベに使える補助金で、中古住宅対象のものがあります。

また、地方自治体も補助金制度を設けていることがあります。例えば、東京都の場合は窓・壁などの断熱化工事を対象に、工事費の6分の1(上限50万円)を補助してくれます。ただし、補助金は申請期間や数が限られていたり、指定業者での施工に限られていたりしますので要注意です。まず、住んでいる自治体のWebサイトをチェックしてみましょう。

中古で住宅ローンは組める?

住宅購入では欠かせない住宅ローンですが、中古住宅でも条件を満たせば住宅ローンが使えます。詳しくは、住宅ローンを検討する金融機関の「資金使途」「借入用途」などを確認することをおすすめします。

なお固定資産税については、新築の建物について床面積条件を満たす場合は3年もしくは5年間、2分の1に軽減されますが(2020年3月末までの完工)、中古住宅には適用されません。また土地については、新築・中古に関わらず固定資産税評価額の6分の1もしくは3分の1に軽減されます。

取得時にかかる不動産取得税の軽減も、新築に比べて少なくなります。新築と中古とでは住宅購入にかかる諸費用は意外と違いますので、こちらも確認が必要です。

個人から買えば消費税はかからない

住宅購入の流れは、建て売りや分譲マンションに関しては新築も中古住宅も不動産会社を通して売買契約をするという点では一緒です。ただし、中古の場合は個人から購入するなら消費税がかからないというお得な面もあります。

新築、中古どちらが有利かは一概にはいえません。特に中古は2つと同じものがなく、いい物件に出会うのは新築よりも難しいともいえます。しかし、新築よりも手に入れやすい金額で、リフォーム・リノベによって好みのマイホームに生まれ変わらせることが可能です。中古住宅も一つの選択肢として考え、夢のマイホーム生活を実現させてください。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

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