予定と結果のズレから改善点が見えてくる

毎朝、その日のアポとタスクを確認した後、手帳に行動予定を書き込みます。このとき、タスクの所要時間は自分が考えた時間の1.5倍を見込むようにしています。予定通りに取りかかっても、電話や部下からの相談など、仕事が中断される場合が多く、計画通りに進まないことも想定されるからです。最初に想定した時間内で終わった場合は、次のタスクや別のタスクに着手します。

行動後は「結果(ログ)」を記録します。予定していた時間を短縮できたのか、超過したのか、またそれはなぜなのかといったことについて、予定と結果を比較して改善点を見つけるためです。

予定と実際の行動にずれが生じた原因は、自分自身にしか把握できません。それを受けて、今後はもっと時間に余裕を持たせるのか、あるいは別の改善策を取るのかなど、次につなげるのです。これがPDCAの「C」と「A」にあたり、続けるうちに、自分はどんな仕事なら早く進められるのか、逆に予定外に時間を取られる傾向があるのかなどが見えてきます。予定と結果を記入し可視化することで気づきが得られるのです。

1日の終わりに「誇れること」を書き出す

予定と結果を書き込むための手帳は、自分の書きやすいものならなんでも構いませんが、私の場合、エクセルで専用のシートを自作して使っています。24時間のログを取りたかったことと、他にも振り返って書き込みたいことが色々と増えてきたことから、市販の手帳では書く欄が不足してしまったからです。

1日の時間軸以外にシートにあらかじめ印刷しているのは、「今日の学び・気づきは?」「今日やったことで誇れること/自分を褒めたくなることは?」などの項目です。これも一種の振り返りですが、特に「誇れることや自分を褒めたくなること」については、1日の終わりに書き出してみることをお勧めします。小さなことでもいいので、自分を褒めることを積み重ねると、自信につながるからです。また、褒めることへのハードルが下がり、些細なことでも他人を褒めたり、感謝したりできるようになります。

1日の感情を書き出す作業も、PDCAサイクルを回すポイントです。私のレビューシートには、「今日の出来事で感情的になったことは?」という欄があります。この欄には主にネガティブになった出来事を「事実」と「感情」と「考え」に分けて書き出します。

「考え」とは「解釈」です。そのネガティブな感情を振り返り、「どうすればよかったのか」を考えるのです。これを繰り返すと感情的になること自体が減っていき、安定した気分で過ごせる時間が増えますので、処理できる仕事量も増えます。

レビューシートには、「今日やったことで、未来を楽にする仕事は?」という項目もあります。書く内容は、「若手社員に仕事を教えて育成中」など、小さな事柄でもいいので、未来の仕事につながることを書いておきます。なかなか埋めるのが難しい項目ですが、こうして事前に項目を設けておくことで、何か残したいという行動を促す効果があるのもまた良い点です。

こうして記入した手帳を毎日、毎週、毎月振り返ることで、PDCAを回し、仕事が早く終わるようになるのです。

谷口和信(たにぐち・かずのぶ)手帳活用コンサルタント
1966年生まれ。92年、大学院修士課程修了後、大手建設会社設計部入社。長時間労働に悩まされていたが、手帳を活用した時間管理・タスク管理技術を取得し、仕事の効率化に成功。18時退社を実現できるように。2011年以降、手帳の使い方がビジネス誌に取り上げられるようになり、17年には高橋書店主催の第21回手帳大賞商品企画部門において、1000通を超える応募の中から唯一の入賞を果たし優秀賞を受賞。著書に、『仕事が速くなる!PDCA手帳術』(明日香出版社)がある。(『THE21オンライン』2018年11月号より)

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