「5G元年」といわれる2019年。日本だけでなく、各国のメーカーも5G対応のスマートフォンの市場投入を計画しています。日経新聞によると、5Gの通信速度は現在と比べて最高で100倍向上するともいわれているのです。スマホに依存している私たちの世界が劇的に変わるといわれていますが、具体的にどのように変化するのでしょうか。

遠い場所の店内を実際に見ながらショッピング

5G
(写真=PIXTA)

5Gのメリットは膨大な量のデータを瞬時に送信できるという点です。たとえば、2時間の映画などの大容量データを数秒でダウンロードできるようになります。5Gによる一番大きい変化はVR(ヴァーチャルリアリティ)を使うことで、空間を越えられる点です。VRとはコンピュータで造られた仮想空間や、距離の離れた場所に実際にいるように感じられる技術です。

5GとVRの組み合わせで個人向けサービスが激変することが考えられます。身近なところではショッピングスタイルの変化です。5G設備と360度カメラを現地に据え通信することで、店内を見渡し商品を手に取ってみるというように、違う場所にいながら現地でのショッピングを楽しめます。

日本にいながら海外旅行、過疎地の患者を高度な技術で診察

VR
(写真=PIXTA)

海外旅行も変化するでしょう。日本にいながら、海外のガイドにライブで案内してもらい、実際に海外を旅しているような感覚を体験できます。日本にいながらの旅行なのでパスポートがいりませんし、ホテル代や飛行機代をかけずに海外旅行を楽しめます。どこにいても高度な医療を受けられる点も大きなメリットです。現時点では、都市にある基幹病院の専門医が、過疎地の患者を5Gの動画や4Kカメラで撮影した画像で診察するところまで実験が進んでいます。

建設や公共サービスなどへの5G技術の活用も

5Gの導入により、さまざまな産業で効果が期待されています。建設業界では、危険な作業を遠方からの操作で行うことで、安全性が高まる効果が見込まれているのです。また、建設業界では人手不足や高齢化が深刻ですが、5Gの導入により出張や移動時間がなくなることで女性労働者の確保も期待できます。公的サービスでも5Gの実証実験が進められているといえるでしょう。

たとえば、長野県の白馬村では5Gを使い橋梁や水道などの管理、除雪車の運行支援の実験を行っています。また、宿泊施設の予約やバスの位置を瞬時に知ることができる機能を持つ観光アプリを開発し観光振興に役立てようとしているのです。地方では、人口減少で公的サービスの維持が難しくなってきているため、コスト安+効率化によって解決策になる可能性があります。

5G元年の2019年にマークしたい上場株式は?

通信革命ともいえる大変革は、株式市場への影響も期待されます。5G により企業価値が向上する分野の筆頭は、通信事業が考えられますが、ここで見てきた通り5G の技術はVR と組み合わせで真価を発揮します。その意味では、VR関連企業はマークすべきでしょう。一例としては、VR を見るための装置「ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)」を使ったときの没入感を高めるフィルムを開発した大日本印刷株式会社。

さらに、HMD専用の高精度ディスプレイ(1,001ppi)を開発した株式会社ジャパンディスプレイが挙げられます。また、VR コンテンツの機能テストやVR 酔い対策を手がける株式会社SHIFTもマークから外せません。もちろん、VRといえばゲーム業界、さらにはここで見てきたように、旅行、医療、建設などあらゆる業界へ波及することが予想されます。どの企業がVRの活用に積極的か、2019年はアンテナをしっかり張りたいところです。

最後に、5Gの普及が進むことでもたらされるのはメリットだけではありません。ネットにつながる製品が増大することで、サイバー攻撃を受けたり、システムダウンしたりするリスクが発生することも想定しておく必要があります。そういったリスクは企業だけではなく個人にも起こりうることとして対策をすべきでしょう。(提供:Wealth Lounge


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