日本は労働人口が減少する一方、働き方改革やワーク・ライフ・バランスによって、企業は効率化を図り生産性向上に意識を向けています。特に労働力が不足している中小企業では、経営者や役員がプレイングマネージャーを務め、労務・給与・経理業務を行う場合があります。管理部門の労務・給与・経理業務をIT化すれば、経営者はマネジメント業務に専念でき、企業の生産性アップを狙えます。

中小企業は効率化と生産性向上が急務

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(写真=PIXTA)

2018年11月20日に公表された「2018年6月の人口推計確定値」によれば、日本は総人口1億2,650万9,000人に対し、65歳以上人口は前年同月と比較して1.32%増加し、3,544万5,000人になっています。他の年代は去年に比べて人口が減っているので、少子高齢化が確実に進んでいると考えられるでしょう。労働力が減少しても、企業は膨大な業務を行わなければなりません。そこでITを導入し、中長期的なコスト削減と生産性アップを目指していく必要性が出てきます。

しかし、日本の中小企業や小規模企業はそれほどIT化が進んでおらず、大企業と比較するとすべての業種で労働生産性が下回っている状況です。2018年東京商工会議所中小企業委員会による「中小企業の経営課題に関するアンケート調査」によれば、中小企業ではIT活用中の企業は約半数の50.8%です。IT導入企業の利用用途を見ると、給与・経理業務の内部管理業務向けが65.4%、タブレット配布やSkype会議での使用が54.2%、ホームページ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、メルマガの活用が39.0%という状況です。

業務効率化やコスト削減に向けたIT化は徐々に進んでいるものの、販路拡大や新商品・新サービスの企画などのIT化はまだまだ途上といっていいでしょう。こういった状況を鑑み、政府はIT化を推進して経営を可視化し稼げる会社「スマートSME」を進めるべく、IT導入補助金公募での一部経費補助やIT化による業務効率化・売上アップへの啓蒙活動を行っています。

労務・給与・経理業務の効率化(1)……ネットバンキングの活用

金融機関のネットバンキングや自動振込を活用することで振込時間が短縮でき、法人のデビッドカードやクレジットカードを活用すれば経費精算も早められます。

ネットバンキングや自動振込を活用

法人口座でネットバンキングや自動振込未導入の企業は導入を検討しましょう。メガバンク、地方銀行、信用組合でもネットバンキングの申し込み手続きをすれば、金融機関に行かなくても振込ができるようになります。また、毎月定額支払いをしている振込先は自動振込を活用すると、振込漏れも防げるので安心です。

デビッドカードやクレジットカードによる経費精算

経営者が個人のデビッドカードやクレジットカードで個人経費の立替を行っている場合は、法人用カードの活用を検討しましょう。経費として認められないものはないかのチェックは必要ですが、漏れ防止につながります。

労務・給与・経理業務の効率化(2)……クラウドサービスを活用

IT化に向けて取り組みが進んでいない企業は労務、給与・経理業務のIT導入を検討してみましょう。クラウド化されたサービスが多く、導入コストが抑えられますし、ホームページを見れば導入効果が掲載されているのでイメージも湧きやすいでしょう。

クラウドの会計システムの導入

クラウド会計システムは金融機関の口座やクレジットカード、デビッドカード、ポイントカード、ECショッピングサイトなどとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)連携を行っています。従業員に配布したスマホアプリで経費精算を行ってもらえば、マネジメント層の承認後会計システムへと自動反映されるのでスムーズに業務を進められます。

経理担当者はクラウドで処理された仕訳を確認するだけで構いません。税理士に管理者権限や閲覧権限を付与すれば、税理士ともスムーズなやり取りができますし、資料が足りない時にもクラウドで送付できるので時間を短縮できます。

金融機関の法人口座のAPI連携は現在進められており、今後の利用拡大が見込まれます。

マイナンバー管理、社会保険、勤怠管理システムのクラウド化

給与・経理業務で負担になりがちなのは、社会保険、勤怠管理、年末調整などです。マイナンバーの管理には所定の管理が必要です。クラウドサービスは従業員が内容を入力しますし、管理側はクラウド上での保管・管理がメインになるので、書類の配布や回収、管理の負担軽減につながります。

社会保険労務士事務所側もクラウドサービスを導入して、顧客と双方でシステムを見られる環境が整いつつありますから、やり取りの効率化も期待できるでしょう。

労務・給与・経理業務が効率化されれば攻めの経営に繋がる

労務・給与・経理業務が効率化されると、経営者はこれまで事務処理に費やしていた時間をマネジメントに充てられます。売上や収支状況をリアルに確認できることで、これまで見過ごしていた懸念点にも気づきやすくなり、早期解決につなげられるでしょう。

また、管理部門は経営分析をもとに、コスト削減や会社の生産性を向上させることができるので、予実(予算実績)管理や顧客管理を通じて攻めの経営に転換できます。労務・給与・経理業務の効率化を進めたい場合は、金融機関や税理士などの専門家に相談してみましょう。効率的な使い方をはじめ、たくさんのノウハウを教えてくれるので、新たな働き方ができるようになるはずです。まずはやってみて、自社なりの効率的なやり方を検討していきましょう。(提供:企業オーナーonline

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