要旨
- 18年10~12月期のユーロ圏の実質GDPは、前期比0.2%、前期比年率0.8%と7~9月期の同0.2%、同0.6%に続き、低調な結果だった。19年入り後も好転の兆しはない。
- 多少の差はあるものの、ユーロ圏主要国の経済は総じて悪化している。イタリアは、すでにテクニカル・リセッション(景気後退)に陥り、ドイツは辛うじて景気後退を免れている。フランスにも失速の兆候が表れている。
- 景気の基調は、環境規制の強化(ドイツ)、抗議活動の拡大(フランス)、信用リスクへの警戒(イタリア)など各国固有の特殊要因と、米中摩擦、中国の需要鈍化、英国のEU離脱、米国からEUへの通商交渉の圧力など外部環境の悪化の相乗効果で変化した。ドイツの製造業輸出への依存度の高さは強みでもあり弱みでもあり、外部環境悪化の影響を受けやすい。
- 各国固有の要因による押し下げ効果が緩和し外部環境の悪化に歯止めが掛かれば、ユーロ圏は緩やかな回復軌道に戻ることは期待できる。しかし、「成長率のゲタ」の影響もあり19年は1%台半ばと見られる潜在成長率を超えることは難しい。
- 欧州中央銀行(ECB)は次回理事会を開催する3月7日にスタッフ経済見通しを下方修正し、政策金利のフォワード・ガイダンスをより慎重なものに改める可能性が高い。