前日は、米国がプレジデンツデーでNY市場が休場となったため、1日の値幅がドル円で約18銭という、非常に小さな値動きに終始しました。米商務省が、米通商拡大法232条に基づいた自動車及び部品の輸入が安全保障に与える影響に関する調査報告書をトランプ大統領に提出した事が声明で明らかとなったものの、詳しい内容は明らかになっていないため、こちらも値動きに直結するには至りませんでした。トランプ大統領は、90日以内にこれらの措置について発表する見通しです。

欧州委員会のスキナス報道官は、米通商拡大法232条に基づいた米国の措置如何では、EUは「迅速かつ適切なやり方で対応する」と述べており、報復関税を発動する意向を示しました。90日以内にトランプ大統領から何かしらの発表がありますが、特段マーケットがこのイベントを織り込んでいる可能性は低いと考えられるため、何もなくて現状維持、場合によってはドル売り、リスク回避の円買いとなるイベントになりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日より、米中閣僚級通商協議がワシントンで開催されるため、引き続き動意薄な展開が想定されます。メインシナリオとしては、既に楽観論が中心となっていますが、トランプ大統領自らが「米国と中国との貿易協議はかなり前進している」と発言し、対中制裁関税の60日間延長の検討なども報道されていることから、余程の事がない限りはドル売りイベントにはならない公算です。ネガティブサプライズがあるとすれば、知的財産権などの技術覇権での協議が破産となることくらいでしょうか。

英国の野党・労働党の議員7名が、離党を表明しました。EU離脱に対するコービン党首の対応などが理由とのことで、労働党においても速やかなEU離脱を望んでいる党員が増えてきていることを示唆しています。欧州委員会のユンケル委員長は、英国がEU離脱交渉の期限延長を求めたとしても、反対する者は欧州にはいないと発言しており、袋小路に追い詰められている状況を考えると、期限延長がやや現実味を帯びてきてかもしれません。

ドイツ連銀は月報の中で、ドイツ経済に関して、少なくとも今年前半は低迷状態が続く可能性があるものの、減速は一時的で年後半に回復する可能性があると指摘しています。引き続き経済指標の悪化はあるものの、一段の景気悪化につながる兆候は今のところないとの認識であるため、今後はドイツの経済指標の内容が一層注目されることになりそうです。

ユーロドルロングは1.1330ドル台にて手仕舞、次の戦略はドル円

1.1250ドルのユーロドルロングは、1.1330ドル台にて手仕舞です。クーレ・ECB理事がTLTROの話題を出してきただけに、ユーロは方向性が見えづらいため、一旦目線を変えます。ドル円に代表されるように、マーケットボラティリティが低下しているため、レンジ取引を中心とした戦略に切り替える必要がありそうです。特にドル円はレンジ内での動きが中心になっているため、下値110.20円、上値110.80円を徹底したトレードを行います。

海外時間からの流れ

18日は米国市場休場、本日19日から米中閣僚級通商協議が開催されており、ドル円はどちらにも動きづらい地合いになっています。基本的には110.20-80円の非常に狭いレンジがコアレンジになると考えられます。

今日の予定

本日は、英・雇用統計、独・2月ZEW景況感調査などの経済指標が予定されています。また、デギンドス・ECB副総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、コスタ・ポルトガル中銀総裁、プラート・ECB専務理事などの要人発言が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。