社長の「大言壮語」で従業員に夢と希望を
米ナスダックへの上場後、一瀬氏は経営者の会合の席で、「米国で1,000店舗まで広げたい」と宣言した。「私には、大言壮語の癖があるんです」。一瀬氏はそう言って笑う。
「ナスダックに上場したといっても、米国ではまだ数店舗です。この段階で1,000店舗を狙うなど、『何をバカなことを』と思う人がほとんどでしょう。
でも、私の大言壮語は、決して言いっ放しではない。これまでも、マザーズ上場や海外進出などの大きな目標を公言し、すべて達成してきました」
一瀬氏を突き動かしているのは、繰り返しになるが、従業員を幸せにしたいという経営者としての覚悟だ。
「私の幸せを支えてくれているのは従業員です。ですから、従業員に夢と希望を与えることが私の仕事なのです。昔から、『従業員が子供に自慢できる会社にしたい』という想いが強かった。
私が『1,000店舗を狙う』と言えば、それを見届けたいと思う従業員のモチベーションにつながるはずです。だから、来年はもっと大きなことを言います。日本での1,000店舗は、オリンピックが終わる頃には見えてきますよ」
一瀬邦夫(いちのせ・くにお)〔株〕ペッパーフードサービス代表取締役社長CEO
1942年、静岡県生まれ。高校卒業と同時にコックの修業に入る。70年、『キッチンくに』を開業。85年、〔有〕くに(現・〔株〕ペッパーフードサービス)を設立し、代表取締役に就任。94年、『ペッパーランチ』の展開を開始。06年、東証マザーズに上場。13年、『いきなり!ステーキ』の展開を開始。14年、米国子会社設立。17年5月に東証二部、同8月に東証一部に市場変更。18年、米ナスダックに上場。《取材・構成:前田はるみ写真撮影:永井浩》(『THE21オンライン』2018年12月号より)
【関連記事THE21オンラインより】
・「いきなり!ステーキ」大躍進を実現した厚切り経営哲学~一瀬邦夫
・家業の倒産からゲーム会社へ…シブサワ・コウ「好きなことを仕事にする」
・【 JAL再建 】フィロソフィで会社は甦る
・「Life is short」──だからこそ、今、全力を出す
・フュービック「上司ではなくお客様へ向くために、査定をしない会社を作る」