人生設計として、「○歳までに結婚する」「○歳までに会社をリタイアする」などと具体的に考えている人がいます。こうした将来設計は楽しいものですが、一方でお金という現実に向き合わなければいけません。どんな人生を生きるにしても、お金から離れることは難しいからです。
そこで今回は、結婚・出産・育児・老後という4つのイベントに絞り、それぞれどれくらいの費用になるのか平均的な金額をご紹介します。どの時点までにいくら用意すればいいのか、参考にしていただければと思います。
結婚および出産の必要額は約500万円?
独身者にとって直近のライフイベントと言えば、結婚です。そして結婚の後は、出産に伴う費用の準備がある程度必要です。
2018年の調査によると、結納・婚約から結婚式および結婚披露宴、そして新婚旅行までにかかる費用の総額は平均で466万6,000円となっています。こちらは全国平均であり、最も高額だった福島県では490万2,000円、続いて首都圏では488万円に達しています。もちろんご祝儀や家族からの支援という形で補えるとは言っても、500万円は費やす想定をした方がよさそうです。
出産の場合は、妊婦負担の合計値として平均49万9,615円という数字が算出されています。ただしこちらは正常分娩の際の費用であり、帝王切開や切迫早産などのトラブルがあると費用負担が増えると考えられます。一方で出産育児一時金として最大42万円が支給されることもあり、場合によってはほとんど費用負担のない状態で出産を乗り切れるケースもあります。
以上を踏まえると、独身者が結婚および出産のためのお金を貯める際、500万円が目安になってきそうです。家族その他から金銭的な支援をしてもらえるとしても、ある程度は自分(および配偶者)だけでまかなえるつもりで準備することをおすすめします。せっかくのおめでたいイベントですから、なるべく金銭的な心配はしたくないものです。
教育費は平均でも約1,300万円かかる!
子どもが生まれたら、次に気になるのは教育費です。幼稚園(保育園)から大学まで、私立と公立のいずれを選ぶのかによって教育費は大きく異なります。各教育課程の学習費総額は、以下の通りとなります。大学のみ、学費と生活費の合計です。
教育課程 | 幼稚園 | 小学校 | 中学校 | |||
区分 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 |
教育費 | 233,947 | 482,392 | 322,310 | 1,528,237 | 478,554 | 1,326,933 |
教育課程 | 高校 | 大学 | |||
区分 | 公立 | 私立 | 国立 | 公立 | 私立 |
教育費 | 450,862 | 1,040,168 | 1,511,700 | 1,431,400 | 2,003,900 |
ここでは、それぞれの教育課程における多数派を選択したと仮定し、幼稚園(3年間)と大学だけ私立、小学校・中学校・高校では公立に通ったケースを考えてみましょう。この場合、合計で約1,344万円かかることになります。奨学金や教育ローンなどを活用しない場合は、この金額を全て家庭内で融通することが必要です。
なお私立学校に通う年数が増えるほど、教育費の負担は増えます。幼稚園から高校まで全て公立ならば約540万円で済みますが、全て私立だと3倍以上の約1,770万円にまで膨れ上がります。大学が国公立でも、累計の教育費負担は2,000万円を軽く超えるでしょう。
老後資金は独身と夫婦でこんなに違う
結婚・出産・育児を終えても、老後というイベントが待ち受けています。定年を迎えると給与収入が絶たれ、収入の大部分を公的年金に頼って生活するわけです。残念ながら年金だけで生活費をまかなうことは難しく、ある程度預貯金から取り崩す必要が出てきます。
一般的な高齢無職夫婦世帯では、収入から支出を差し引いた際の月ごとの赤字額が約5万4,000円となっています。これは年間で約65万円、30年間続くとすると約2,000万円にもなります。一方の高齢単身世帯では、毎月の赤字額が約4万円です。同じ30年間で約1,400万円に達します。これだけの貯金がないと、老後の生活は必然的に苦しくなってくるのです。
人生設計に必要なマネープラン
結婚・出産・育児・老後と、平均的な費用を見てきました。いずれも数百万円から数千万円単位のお金を要することが理解できたと思います。
これだけのお金を用意するには、計画的な貯蓄が欠かせません。どのイベントがだいたい何年後にやってきて、それぞれいくら必要になるのかを見極めましょう。そして、イベントを迎えるまでに毎月・毎年いくら貯金すればよいのか算出しましょう。現状とゴールを設定できれば、あとは収入アップと支出カットによって貯金額を増やしていくだけです。
こうしたマネープランがないと、ライフイベントの存在は認識しつつもお金の現実にはなかなか目が向かないかもしれません。いざイベントを迎えるに当たってお金がなくなったとしても、親戚や友人、カード会社などからお金を借りればその場はしのげるでしょう。しかし借金の存在は、その後の人生にも大きく影を落とします。やはり、自分のお金でまかなうことが基本中の基本なのです。
人生設計ではお金のことも真面目に考えよう
将来の人生設計を考えるに当たっては、お金の問題から目を背けないようにしましょう。何をするにしてもお金は必要であり、お金があればトラブルに直面しても自分を守ってくれます。
今回ご説明したライフイベントおよび費用は、あくまで一般的な人が平均的に負担するものに過ぎません。各自でライフイベントを思い起こし、それぞれにかかる費用負担を算出するようにしましょう。(提供:Incomepress )
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