夫婦生活について考えていると、ふと老後のお金事情が心配になる瞬間はないでしょうか。少子高齢化が進む中で、自分たちが老後になるまで年金制度が安泰であるとは限りません。老後の生活のために、お金の準備をすることも必要です。
今回は、老後資金の最低必要額を明らかにするとともに、その額を貯めるために夫婦がするべき行動についてお伝えします。
夫婦で築くべき老後資金の必要額は最低でも2,000万円以上?
夫婦二人だと、年金受給額が増える代わりに生活費も増えます。多くの家庭では年金受給額より生活費の方が多いため、預貯金からの持ち出しが生活を支えています。
統計調査によると、高齢夫婦無職世帯の実収入の平均は月額20万9,198円です。このうち9割以上に当たる19万1,880円が「社会保障給付」であることから見ても、高齢者世帯が年金制度に生活を依存している事実が分かります。
その一方で、総支出額は26万3,717円です。そのため、毎月5万4,519円が不足していることになります。この不足は公的年金制度の支えきれない部分であり、各世帯が自分たちの預貯金から持ち出しで補填しなければなりません。
「老後にお金で困らないか心配」と感じている人は多いと思います。そうした人は、死ぬまで毎月5万円以上切り崩しても耐えられるだけのお金を貯めることが一つの目標になってくるでしょう。毎月約5万4,000円ということは、年間で約65万円、20年間で1,300万円、30年間で2,000万円弱です。寿命が伸びていることを踏まえて、最低でも2,000万円貯めることが必要です。
2,000万円はあくまで最低ラインですから、場合によってはそれ以上の貯蓄を目指すべきかもしれません。将来の医療費や介護費の負担増、そして年金制度の変更(受給年齢の引き上げ)などの悪条件が重なると、持ち出しが1,000万円単位で増える可能性もあります。結局「いくら貯めるべきか」というのはその夫婦の事情や価値観によって変わってくるため、誰にでも当てはまるような目標金額を定めることはできないのです。
老後資金の必要額を今から貯めるためにまずやるべきこと
最初に、話し合いの機会を持つべきです。貯蓄額の目標を設定・共有するためにも必要ですし、何より配偶者のお金に対する価値観を深く知るためにきわめて有効です。節約が好きでお金を使う趣味を持たない配偶者であれば、貯蓄額を増やすことはそれほど困難ではないでしょう。しかし、逆に贅沢が好きでお金を使う趣味を持っている配偶者がいる場合、配偶者の理解を得られないまま貯蓄を続けるのは大変です。
配偶者の価値観を変えるのはきわめて困難ですが、せめて貯蓄の必要性やそのために協力してもらえる範囲の合意を取りつけることは可能でしょう。中には「お金の話すらしたくない」という人もいますから、じっくり時間をかけて話し合いの機会を探ることです。
カップルの中には、二人で生活や人生に関わる真剣な話し合いをしたことがないまま結婚したというケースもあるでしょう。老後とお金に関する話し合いをすることで、二人の関係がより強固になることも期待できます。
老後資金を貯められる夫婦の必須行動3点
老後資金を具体的に貯めるための行動としては、目標設定と現状の家計改善、そしてリスクの低い資産運用の3つが挙げられます。
目標設定とは、前述のように貯蓄額を定めることです。例えば2,000万円でよしとするのか、3,000万円を最低ラインとするのかによって日々の行動が変わってくる可能性もあります。夫婦で目標について話し合い、納得できるラインを設定しましょう。
次に家計改善とは、主に支出の抑制に当たります。すぐに収入を増やすのは難しいですが、すぐに支出を抑制することは可能です。通信費や家賃(住居費)、保険料など、固定費と呼ばれる支出を見直すことで恒常的な節約が実現します。格安スマホや住まいの見直し、保険の見直しをやってみてください。
最後に資産運用ですが、数多く存在する運用方法の中でも初心者向けに設けられた制度の利用がおすすめです。具体的には、つみたてNISAやiDeCoなど、税制面で優遇措置の設けられた仕組みを使います。つみたてNISAですと売却益が、iDeCoですと売却益と掛金が優遇対象になります。こうした制度を利用することで、一般的な資産運用より効率的な運用が可能です。
以上3つを始めるだけで、余裕のある老後の生活が近づいてきます。老後までには数十年単位の時間がありますから、それまでコツコツとそれぞれの行動を維持することが重要です。
家計のブラッシュアップで夫婦生活もレベルアップ
夫婦でお金について話し合い、老後資金を準備するための具体的な行動を開始すると、夫婦生活もレベルアップできます。夫婦で価値観を共有し、二人の将来に役立つ行動ができていると実感できるからです。価値観を共有するパートナーと、将来に向けた合理的と思える行動は生活の幸福観の向上にも役立つかもしれません。
まずは、夫婦でお金について話し合う機会を作ってみましょう。(提供:Incomepress )
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