「オウム返し」で自然と波長が合う!

3.の声の調子は、話すテンポや声のトーンのことです。

早口で話している相手に対して、こちらがゆっくり答えていると、相手はイライラしてしまいます。その逆に、ゆっくり話している相手に早口で答えると、相手は急かされているように感じます。

また、人は楽しい話をしているときは声が高くなり、重い話をしているときは声が低くなるものです。ですから、声のトーンを相手に合わせることで、相手と同じ気分を共有していることを示すことができます。

4.の言葉は、厳密には非言語コミュニケーションではありませんが、要は「オウム返し」をするだけです。相手が「先週の日曜日、ゴルフに行ってきたんですけどね」と話し出したら、「へえ、ゴルフに行かれたんですね」と、そのまま返すのです。

簡単なように思うかもしれませんが、ほとんどの人はオウム返しができません。つい、「それはいいですね」などと返したりします。

けれども、もしかしたら相手は、ゴルフの帰りに渋滞に遭って大変な思いをしたことを話したかったのかもしれません。もしそうだとしたら、「いいですね」と言われてしまうと、自分が話そうと思っていたことを遮られたと感じるでしょう。

ですから、「ゴルフ=楽しい」という思い込みや憶測を挟まずに、単純に相手の言葉をオウム返しすることが大切なのです。

オウム返しを繰り返すうちに、相手が「ゴルフに行って楽しかった」という話がしたいのか、「大変だった」という話をしたいのかが見えてきます。見えてきてから、相手が話したいと思っていることに乗ってあげることで、相手と波長を合わせることができます。

皆さんの周りにも、話がうまいわけではないのに、「なぜかあの人といると楽しい」とか「つい色々と話してしまう」という人がいるのではないでしょうか。その理由はペーシングにあります。話すことが下手な人でも、ペーシングを使えば、会話上手になることは十分に可能なのです。

松橋良紀(まつはし・よしのり)コミュニケーション総合研究所代表理事
1964年、青森県生まれ。高校卒業後にギタリストを目指して上京するもかなわず、26歳から訪問販売営業を始める。しかし、3年間かかっても結果を出せず、クビ寸前に。救いを求めて通い始めたカウンセラー養成講座でNLP心理学を知り、翌月からトップセールスとなる。営業研修や能力開発の講師を経験後に独立し、コミュニケーション総合研究所を設立。『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす「聞くだけ」会話術』(ダイヤモンド社)など、著書多数。《取材・構成:長谷川敦》(『THE21オンライン』2019年1月号より)

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