以前、「貧富の差は情報の格差で決まる~貧富の差を生み出しているのは収入格差ではなく「情報格差」~」という記事を書いた。この記事は「お金持ちや一流の人にしか触れられない情報があり、その情報が大きな差を生み出す」という内容だ。ネット上では情報に格差が存在することに対して「お金持ちしか触れられない情報があるなら、お金を持っていない人はどうしようもないじゃないか」と憤慨している声も見られた。
しかし、そうではないパターンも存在する。つまり、「誰もがアクセスできる一般的な情報から大金を得る人、何も得られない人」に分かれるということだ。元々、一般サラリーマンだったA氏が、ある夕方のニュースを見て、99%の人が気づかなかった投資の可能性に気づき、いち早く行動したことで50億円を稼いだ実話を取り上げる。多くの人も同じニュースを見ていたはずなのに、なぜA氏はこのような事ができたのだろうか。
50億円との出会いは夕方5時のニュース番組
ある地上波放送の夕方5時のニュース番組に、A氏は釘付けになった。その番組は「国内の金融機関が一堂に会し、海外送金手数料を下げるサービスの試みが始まった」というものだった。新たなサービスを活用して、国内外の国際送金手数料を下げる試みというもので、ほとんどの人にとっては「ふーん、何やら便利そうなサービスが始まるんだな」という印象だろう。数分後にはすっかり頭から消えてしまいそうな内容だ。
だが、A氏はたまたまこのニュース番組を録画しており、興味を惹かれて何度も何度も見直したのだという。そして、その番組でわずか2秒間、画面に写り込んだテキストに魂を奪われた。国内外の送金サービスを解説するフリップの隅に「Powered by Ripple」と書いてあったという。
リップル。今でこそ国際送金サービスを前提として開発された暗号資産の1つであると広く認識されているが、そのニュースが放送されたのは、今から約4年前だった。当時は「暗号資産(仮想通貨)」というワード自体を聞いたこともない人が大半だっただろう。A氏はリップルについて調べ始めた。そして、その可能性の大きさに高まる動悸を抑えられなかったという。
リップルの持つ潜在的な可能性の大きさ
国際送金市場は1日620兆円ほど。現行の国際送金を担うのは「SWIFT」という40年間以上に渡って使われ続けてきたシステムである。SWIFTは高コストで時間もかかるという。スマホや5Gのネット全盛期の現代において取り残されたテクノロジーといえる。国際送金サービスが提供できるのは、ノストロ口座と呼ばれるコルレス銀行に限られ、送金手数料は極めて高く、送金エラーが発生すると1週間も着金に時間を要する。
この莫大な国際送金市場に代わるシステムとして、名乗りを上げたのはリップルだ。リップルであれば遥かに低コストかつ高速送金が可能となる。もしも将来的に国際送金サービスがSWIFTからリップルにスイッチされれば、流れ込んでくる金額は莫大なものとなる。国際送金市場を100として、リップルが使用される割合が数%であっても、市場全体が大きいので高騰は必至。そう読んだA氏はその日を境に、空いた時間のすべてをリップル研究に注ぎ込み始めた。
すべてを投資したA氏
まったく話題には上がらないものの、GoogleやSAPとの提携や出資を受ける記事が海外で出ていることを知り、「これは本物だ」と確信したのだという。そのうち、日本では「仮想通貨は詐欺だ」と言われ始めるが、A氏は海外の研究者や企業の文献を読み漁っていたA氏は意に介さなかった。著名な研究者やビジネスマンがリップルについて語り、可能性を感じたA氏は投資を決意した。
ごく一般的なサラリーマンだったA氏は、リップルが1円を遥かに下回る金額の時期に、持っていた資金のすべてを投資し続けた。「リップルは来る」ひたすらそのように信じて待ち続けた。A氏が投資を始めて、最初の3年間は価格がずっと横ばい。周囲の友人からは「チャートは心肺停止状態だ。こんなものに投資するなんてクレイジーだ」と散々笑われたそうだ。
A氏とB氏を分けた「情報力」
実はA氏がリップルを購入した同時期に、同じくリップルを全力買いした知人B氏がいた。B氏はA氏と同じようなタイミングでリップルを購入したが、2017年、リップルが価格高騰を始めたタイミングで、B氏は30万円の含み益を得たタイミングで全額売却してしまった。3年間待ち続けた忍耐は、価格が少し上がったタイミングで音を立てて切れてしまった。
だが、A氏は一切売らなかった。リップルの潜在能力はこんなもんじゃない。狙いはあくまで実需が始まり、本格的にSWIFTのシェアを取り始めたタイミングだ。その後、2017年はじめに1円以下だったリップルは2018年1月には400円を超えた。A氏の資産は1000倍に拡大し、資産は50億円となった。
B氏は早々に利益確定して30万円ほどの利益を得た。一方、A氏はビリオネアの仲間入りをした。この差を分けたものは「情報力」だ。たゆまぬ探究心を武器に、彼は徹底的にリップルを研究した。その研究への努力が情報力となり、それがA氏をビリオネアにしたのである。
投資は情報力が命だ。確かに情報力には格差があるが、新しいテクノロジーについていえば誰にでも開かれたチャンスがあると言えるだろう。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表)