JASRACは本当に「強欲」なのか?

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(画像=THE21オンライン)

「音楽教室での演奏に対しても、JASRACが著作権料を徴収する?」というニュースが話題になったのは2017年。あれから2年経ち、実はすでに「徴収」は行なわれ始めているのが現実だ。音楽教室に同情的な世論も根強いが、法律論的には「JASRACに分がある」のが現実だと、米国弁護士の資格を持つ城所岩生氏は言う。

だが城所氏は「それでも、この徴収を許すべきではない」と主張し、さらには、JASRAC優位の流れが今年になって変わってくるかもしれないという。

すでに徴収は始まっている!?

2017年2月、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)が「音楽教室で演奏される楽曲についても著作権料を徴収する」という方針を発表したことは、大きな話題となりました。要するに音楽教室で先生が生徒にお手本として聞かせる演奏や、生徒がレッスンで弾く演奏からも著作権料を徴収するというのです。「JASRACは強欲だ」などという声も聞かれるなど、当時の世論はどちらかというと音楽事業者寄りだったように思えます。

さて、あれから2年ほど経ち、この話題についてめっきり聞かなくなりました。現状はどうなっているのでしょうか。

JASRACの「音楽教室から著作権料を徴収する」という方針に反対する音楽教室事業者は、「音楽教育を守る会」を結成し、17年6月にはJASRACに対し、著作権料を徴収する権利がないことを確認する訴訟を東京地裁に提起しました。この問題については、いまだ係争中です。

ただ、JASRACは昨年4月より約850事業者(約7300教室)に契約案内を送付し、契約を締結した教室からの徴収を開始しています。

実は訴訟とは別に、音楽教室事業者は文化庁長官に対して、判決が確定するまでJASRACに徴収させないよう求める長官裁定を申請しました。それに対して文化庁は、「徴収は認める」が、「徴収に反対している事業者には判決が出るまで督促をしないように求める」という長官裁定を下したのです。昨年4月より徴収が行なわれたのはそれを受けてのものです。

ただ、JASRACは支払いの督促はできません。それもあり、6月までの3カ月間で契約に応じたのは21事業者(事業者全体の2.5%)、36教室(教室全体の0.5%)に留まっています。