Great Place to Workが2018年10月に発表した「働きがいのあるグローバル企業」世界ランキングでは、セールスフォースが見事1位となりました。世界の60ヵ国以上の国々の中から選ばれた会社には、ある傾向があるといいます。それは、従業員の心理的安全性が確保されているということです。具体的にどのようなことなのでしょうか。その傾向を見てみましょう。
働きがいのあるグローバル企業ランキング
まず、2018年のランキングにはどのような傾向があるのかを知るために、ランクインされた会社について確認してみましょう。なお、公式ホームページによればランキングの基準は下記の通りです。
・ 各国の2017-2018実施調査において、5ヵ国以上でベストカンパニーに選定されていること
・ 従業員数が全世界で5,000名以上であること
・ 自国(本社の所在国)以外で従業員が40%以上働いていること
(Great Place to Work(R) Instituteホームページより引用)
実際のランキングは以下のとおりです。
1. Salesforce (情報技術)
2. Hilton Worldwide (ホスピタリティ)
3. Mars, Inc (製造・生産)
4. Intuit Inc (情報技術)
5. The Adecco Group(プロフェッショナルサービス)
6. DHL (運輸)
7. Mercado Libre (情報技術)
8. Cisco (情報技術)
9. Daimler Financial Services (金融サービス・保険)
- SAS Institute Inc. (情報技術)
(Great Place to Work(R) Instituteホームページより引用)
「働きがいのある会社」従業員の本音
「働きがいのある会社」の従業員は自社についてどのように考えているのか、上位3社に勤務する従業員の意見を見てみましょう。なお、これらの意見はGreat Place to Workの調査で収集された匿名の意見(英語原文)を翻訳したものです。
セールスフォース従業員の意見
「セールスフォースには自分が仲間として認められている、必要とされていると感じられる環境があります。セールスフォースの従業員は個々で自分なりの成功を収めようと努力しています。また、コミュニティへの貢献も促進。ボランティアの時間を十分に取れます。他の会社でそういう会社はありません。」
ヒルトン従業員の意見
「ヒルトンは働くには最高の環境です。自分が自分でいられて仕事場での時間を楽しめます。ストレスフリーで仕事場に来るのが本当に楽しみです。」
「ゲストに対するおもてなし精神をそのまま体現しているような会社です。フレンドリーな企業文化を保有しています。従業員はヒルトンの経営トップにもコンタクトを取ることも可能です。約100年経っているような企業なのにまるでスタートアップのような企業で、アイデアやイノベーションをすぐに市場に投入できます。」
マース従業員の意見
「マースの環境は寛容の一言に尽きます。ペットをオフィスに連れてきてもいいし、デスクはオープン席になっています。従業員はみんな家族のようです。オフィスを出たり入ったりするのも自由でマイクロマネジメントもありません。マースの5原則が私たちのなすことすべての根底にあります。」
※5原則 マースの企業規範「品質、責任、互恵、効率、自由」
心理的安全性が高い環境
Great Place to Workによれば、「働きがいのある会社」で働く従業員の自社に対する意見(匿名)の中で最も多かったのは「従業員がお互いに労り合っている」「従業員は他の従業員の仕事の遂行を進んで手助けする」というものでした。これに加えて、上記の従業員の意見から読み取れることは、「働きがいのある会社」には従業員が自分本来の姿を曝け出すことができる、そしてそれを受け入れてくれる「心理的安全性」が存在しているということです。
米国グーグル社は2012年に開始した労働改革プロジェクト「プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)」において、生産性の高い成功するチームが形成されるうえで「心理的安全性の高い環境」が必要条件であることを伝えています。成功するチームの5つの特性は以下です。
- 心理的安全性:メンバーは他のメンバーに自分本来の姿を曝け出すことができる、そしてそれを受け入れてくれる
- メンバーの能力への信用:他のメンバーが期限までに仕事を終わらせることができ成果を出せると信用できる
- 構造と透明性:メンバーの役割が明確である
- 仕事の意義:メンバーは仕事に個人的な意義を感じている
- 社会的意義:メンバーは自分の仕事が社会に意義があると信じている
「働きがいのある会社」には心理的安全性が存在しています。その心理的安全性は他者への心遣いや共感、理解力によって成り立ちます。「働きがいのある会社」はそれぞれにボランティア活動を奨励したり、オープン席にしたり、会社のトップと気軽にコミュニケーションできる環境を整えるなどの取り組みを行っていますが、それは他者への心遣いや共感、理解力を深める試みともいえるでしょう。
働きがいのある職場づくりは心理的安全性を確保することから
セールスフォース、ヒルトン、マースなど世界的に「働きがいのある企業」として認められている企業は、心理的安全性が確保され、そのベースとなる他者への心遣いや共感、理解力を高めていくための取り組みも積極的に行っています。
「働きがい」は離職率の低下や生産性の向上にも大きく関係していきます。これら「働きがいのある」企業の取り組みを参考に、学べることは多いのではないでしょうか。(提供:J.Score Style)
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