画像1
(『beeat sushi burrito Tokyo』を運営する株式会社ユーボの代表・佐藤丈彦さん)

2018年11月30日、秋葉原に業界初の寿司ブリトー専門店『beeat sushi burrito Tokyo(以下、beeat)』がオープンした。最大の特徴は、ほぼ無人の“オートメーションレストラン”であること。

商品の値段は毎日、仕入れ値や販売時間を考慮しAIが決める。客はスマホで注文から決済まで行い、「〇番からお受けとりください」という通知が来たら、店のサービングボックスで商品を受け取る。この近未来型飲食店がどのようにして誕生したのか、同店を運営する株式会社ユーボの代表・佐藤丈彦さんに話を聞いた。

なぜキャッシュレス&オートメーションの店舗を作ったのか

株式会社ユーボは最新テクノロジーを用いた店舗用設備を開発・販売する企業である。なぜ、自分たちの手で『beeat』のようなほぼ無人の飲食店を作ろうと考えたのだろう。

「私はもともと飲食店に店舗設備を販売する仕事をしていました。その中でよく耳にしたのが、『人が集まらない』という悩みです。それなら、こちらで労働力をサポートするシステムを作って提案しようと思ったのがきっかけでした。先進国ではキャッシュレスやオートメーション化の流れは一般的です。アメリカのスタバでは、売上の約35%がスマホからの注文ですし、中国のファーストフード『Dicos』では、有人店舗で70%の人員削減に成功しています。少子化が進む日本でも、今後はスタッフをたくさん配置し手厚いサービスが受けられる業態と、テクノロジーを活用した店舗の二極化が進んでいくのではないかと予想しています」

日本では、ロイヤルホールディングスが2017年にキャッシュレス店舗をオープンし、マクドナルドもスマホから注文するシステムを導入した。こうした動きは、今後さらに加速していくとみられている。

画像2
(飲食店とは思えない「近未来!」な空間)

寿司ブリトーの価格はAIが決める

『beeat』はミシュランで一つ星獲得の経験を持つ水口一義シェフ監修のもと、素材にこだわった11種類の寿司ブリトーを提供している。新店舗にこの商材を選んだ理由を聞いた。

「店のシステムが新しいものなので、寿司ブリトーのような新しい商材と組み合わせたほうが面白いんじゃないかと思って選びました。もともとアメリカ西海岸発祥のファストフードなのですが、歩きながらブリトーのように片手で食べるスタイルが人気で、世界中に店があります。中東でも人気があるんですよ。うちでは、マグロ、サーモンなどの海鮮だけでなく、フライドチキンやカレー、オマールエビなど多種多様な素材を使用しています。パッと見は恵方巻きみたいなので、海苔の代わりにオレンジ色のベジシートを使ってオリジナリティを出しています」

商品の価格は、メニューの素材や販売時間などによってAIが価格(780円〜1,300円)を決めるというユニークなシステムを採用している。

「飲食店って、『この値段でやります』と決めるとなかなか変えられないですよね。日々仕入れ値が変動したり、販売する時間帯によって人件費が変わったり、さまざまな要因が絡んできますので、価格をもう少しフレキシブルに決めてもいいんじゃないかと思って、実験的に取り入れてみました。まだ始めたばかりでデータの蓄積が少ないので、いきなり価格が乱高下しないように、上限と下限を設定した中で運用しています。将来的には『損を出してもいいから、在庫を全部はけたい』というときにすごく安く提供するとか、状況に合わせた値段設定ができるようになると思います」