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もうすぐ4月。飲食店の中には新入社員や学生アルバイトが新しく働き始める店舗もあるだろう。

飲食業界は長らく人手不足に悩まされている。その原因の一つが「離職率」の高さだ。厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)」によると、大卒就職者が就職後3年以内に離職した割合は、「宿泊業・飲食サービス業」が全業種の中で最も高く49.7%(高卒は63.2%)。独立志向のある人は複数の店舗で経験を積む傾向にあるが、そうした業界特有の事情を差し引いたとしても高い数字だといえる。

新入社員を定着させ、離職率を抑えるためにはどうすればいいか? 今回はその方法を考えていきたい。

「定着率」と「離職率」、その定義は?

定着率とは、その仕事に就いていた従業員のうち、一定期間にどれくらいの人が仕事を続けていたかを比率として表したもの。離職率はその逆で、仕事を辞めていった人数の比率を指す。それぞれの計算式は以下の通り。

・定着率=一定期間を通して残った従業員数÷一定期間開始時点で雇用された全従業員数
・離職率=一定期間を通して離職した従業員数÷一定期間開始時点で雇用された全従業員数

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定着率を高める方法

では、実際に定着率を高めるためにできることとは、どんなことが考えられるだろうか。

■職場の雰囲気を改善する

職場の人間関係は従業員の定着率に対して最も影響を与えると言われる要素だ。職場の雰囲気が悪いと仕事に行くこと自体がストレスとなり、業務に集中できなくなる可能性がある。コミュニケーションが不足している職場では、適切な情報共有がされず、業務に支障をきたすこともあるだろう。普段から密にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することによって、従業員の定着につながるだけでなく、業務効率も高まるはずだ。

■教育制度をつくる

飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)117名に対して行なったアンケート調査で、「スタッフへの教育において利用しているもの」を聞いたところ、最も多かった回答は、「特に利用しているものはない」で63.2%だった。ほとんどの店舗が業務を行いながらの実践的なOJTが行なわれているようだ。このような職場でよくあるのが、指導者が変わるたびに言うことが違い混乱するというもの。これではせっかく入社した貴重なスタッフが、現状に失望して早期退職する可能性もある。

大切なのは教育の仕組みを作り、業務に必要なことを整理してマニュアル化すること。誰が教えても誰が教わっても、同じ結果になるようにするのがポイントだ。また、「話しやすい上司」がいるだけで、新人スタッフの不安は軽減する。コミュニケーションが取りやすい環境を作ることも大切である。

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■福利厚生を充実させる

福利厚生とは、企業が従業員に提供する給与以外の報酬・サービスのこと。マイナビの調査によると、新卒生が「企業選びで最も注目するポイント」の第1位に、「福利厚生制度の充実」が選ばれた。これは、給与の高さや経営の安定を抑えての結果で、いかに福利厚生が重要視されているのかがわかる。

飲食業界においても、大手企業では就業祝い金の支給や退職金制度の導入、ボーナスや住宅補助の用意など、手厚い雇用条件で人材確保に動いている。また、短時間勤務や残業ナシなど、働き方に柔軟性を持たせることで、幅広い層へアプローチしている。従業員の目線に立った福利厚生を提供することで、従業員満足度が向上し、その結果、離職率の低下につながるはずだ。

さて、今回は従業員の離職率を抑え、定着率を高めるための方法を紹介した。従業員が安心して長く働ける環境を整えることが、定着率アップにつながることは間違いない。早めに対応を進めていくとよいだろう。

執筆者:上條真由美

(提供:Foodist Media