ネット証券で取引する際に、複数の会社で口座を開設するメリットとはどのようなことだろうか?手数料の面やIPOの当選チャンスの上昇、分散投資ができるなどが上げられる。ここでは複数口座を持つ利点について、わかりやすく開設していこう。

ネット証券の口座開設は簡単にできる

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

ネット証券で口座開設するのに手間も時間もそれほどかからない。口座開設申込フォームに個人情報を入力してマイナンバーカードなどをアップロードすれば、遅くとも1週間後には取引を始められる。では具定例を挙げながら複数のネット証券を持つ5つのメリットを解説する。

複数のネット証券を持つ5つのメリット

メリット1 商品ごとにもっとも安い手数料を選べる

現物の国内株式であれば手数料が業界最安値の水準であるSBI証券や楽天証券。1日の約定代金の合計金額が10万円以下だと手数料が無料の松井証券。投資信託であればノーロード(手数料無料)をもっとも多く取り扱っているSBI証券。ETFならフリーETFが多いカブドットコム証券など、金融商品ごとに手数料が安い証券会社を選べばコスト削減になる。

メリット2 IPOの当選チャンスが増える

IPOでは抽選に参加し当選すると新規公開株を購入する権利が得られる。IPOの当選確率を上げるには、たくさんのIPO銘柄の抽選に参加する、またはより多くの口数で抽選に参加する必要があるため、1社だけではなく複数の証券会社から申し込むほうが当選確率は高くなる。

例えばSBI証券では主要ネット証券の中でもIPO取扱銘柄数第1位だ。三菱UFJフィナンシャル・グループの総合証券である三菱UFJモルガン・スタンレー証券はIPO主幹事案件数が多く、その大半をカブドットコム証券が取り扱っている。総合証券でもネット取引に積極的な野村證券やSMBC日興証券、大和証券も主幹事案件数が多い。

メリット3 各社独自の情報やサービスを受けられる

ネット証券にはそれぞれ独自のサービスや特徴的な商品がある。例えば楽天証券で口座を開設すると、グループ銀行との口座連携サービスで銀行の普通預金に優遇金利が適用される。お気に入りの株主優待銘柄を探したいなら株主優待銘柄情報が豊富な松井証券もいいだろう。

米国株式を頻繁に売買したいのなら約1,800銘柄の米国株式を取り扱うSBI証券、中国株式に興味があるのなら2,000以上もの中国株式を取り扱うマネックス証券に口座開設するのも手だ。信頼性のおけるアナリストや専門家による投資情報が必要であればMUFGレポートが無料で読めるカブドットコム証券もいい。

メリット4 自分の投資方針に合った銘柄を選べる

債券や投資信託は証券会社によって取扱銘柄や取扱銘柄本数に違いがある。複数のネット証券で取り扱う銘柄や諸条件を十分に比較、検討して、自分の投資方針に合った銘柄やより魅力的な条件の銘柄を選んで購入できるというメリットがある。

例えばSBI証券では株価指数連動債や他社株転換条項付債券(EB)のようなハイリスク・ハイリターンの円貨建の新発仕組債を定期的に販売しており、マネックス証券や楽天証券でも新発仕組債を取り扱っている。カブドットコム証券は仕組債をほとんど取り扱わないが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券との協業によって外貨建の既発債を多数販売している。

楽天証券でも外貨建既発債をたくさん取り扱っているが、GMOクリック証券では外貨建債券のみの販売であり、松井証券やDMM.com証券は債券自体を取り扱っていない。

さらに投資信託も証券会社によって取扱銘柄本数や銘柄が異なる。SBI証券や楽天証券は取扱銘柄本数が2,500本以上あり、手数料無料の投資信託も多い。マネックス証券やカブドットコム証券でも1,100本前後の投資信託取扱本数がある。

メリット5 リスク分散効果がある

投資運用の基本として「地域の分散」「時間の分散」「資産の分散」という概念がある。リスクを減らすためには、資産をさまざまな形で分散する必要がある。証券口座を複数持つということは、このうちの「資産の分散」に近い意味と捉えていいだろう。

大規模災害や株式相場の暴落などが起こると、証券会社に大量の売り注文が殺到し、証券会社のシステムがダウンする可能性がある。長時間ログインできない状態が続くと、タイミングを逃して大幅な損失が生じることも想定される。こうした最悪の事態にならないためにも、あらかじめ複数の口座に資産を分散させておくといい。

複数口座開設の手間を惜しまずにメリットを享受しよう

複数のネット証券に口座を持つということは、開設する手間がかかり、各社のサービスや金融商品などを横断的にチェックする労力が必要となる。しかしそれ以上のメリットを享受でき、将来的に自分の資産を増やすことにもつながるため、こうした手間や労力は惜しまないようにしたい。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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