真剣に投資を学ぶにあたり、最初に「損切り」という言葉を耳にする人は多いことでしょう。理屈の上では簡単でも、実際の損切りはなぜかなかなか難しいものです。なぜ損切りは難しいのか。またどうすれば損切りが上手にできるようになるのか。本稿では、損切りとその心理について説明します。
投資で最初に学ぶものが「損切り」
投資とくに株式投資や先物などで「損切り」について最初に教わる人は多いはずです。損切りとは、投資において損失を確定することを指します。人間である以上、誰も未来の市場はわかりません。そのため、投資を行うにあたっては必ず損失が出ることがあります。
放っておけばズルズルと損失が拡大し、取り返しのつかない状況になりかねない中で、ただ指をくわえて見守るのではなく、損失が小さなうちに損失を確定しまうのです。これはたとえれば、傘がない中、小雨が降り出しているけれど、これから大雨になるおそれがあるから少々濡れても走って帰ろうというようなものだと言えます。
投資のプロは損切りを徹底する
外資系証券会社のプロトレーダーなどは、投資で大切なこととして「一に損切り、二に損切り」と述べることが少なくありません。プロは損切りを徹底します。一定の損失が出たら、十回でも二十回でも淡々と損切りを繰り返すのです。
もしこの損切りができないとどうなるか? それはイギリスで「女王陛下の銀行」とまで呼ばれた名門「ベアリングス銀行」が経営破たんしたことからもわかります。たった一人のトレーダーが、先物取引で損切りをせず、損失を隠ぺいし続けた結果、ベアリング銀行は1,380億円もの損失を被り、結果、倒産に追い込まれたのです。
損切りはなぜ難しい?
これほどまで基本的かつ大事な手法であるにも関わらず、誰もが口を揃えて「損切りは難しい」と言います。その理由は手法そのものと言うよりもむしろ、損切りには心理的なバイアスがあるためです。
たとえば10円玉を投げて表が出るか裏が出るかを賭けたとします。表が出れば一万円もらえますが、裏が出れば一万円払わなければなりません。そして手元には一万円しかありません。それが全財産だとします。
もし、表が出て一万円が二万円になったらそれは嬉しいでしょう。しかし、その感情の波と比較すると、裏が出て、なけなしの一万円がゼロになってしまったときの悲嘆とは比べ物にならないはずです。
なにかを手に入れることよりも、なにかを喪失することの方が精神的には大きな波となるのです。このように損切りと言うものはやればやるほど心に痛みが走ります。だからこそプロは痛みが大きくならないうちに早めに損切りを繰り返すのです。
「フロー」で機械的に損切りを行う
では、この心理的な痛みを回避しながら損切りできる方法はないのでしょうか。この答えの一つとして「フロー」と呼ばれるものが挙げられます。スポーツなどで有名ですが、集中力が高まりつつ、リラックスしており、能力が最大限に発揮できる精神的な状態があります。
「フロー」または「ゾーン」と呼ばれるこの現象は、たとえばマインドフルネスなどで人為的に起こすことが可能です。そしてこの集中しながらリラックスしている状況においてリズミカルかつ機械的に損切りを行うと言う一つの手法が存在しています。
「フロー」の活用で上手に損切りしてみよう
上述のような損切りはどちらかと言えば短期取引に向けたものです。長期投資で損切りの幅を大きく取っているような場合であれば、また戦略を練った上での損切りとなることでしょう。しかし、たとえばデイトレードなどにおいて「フロー」における心理状態は実際に活用できる損切りの方法でもあります。いざと言う際には上手に損切りできるように活用することをおすすめします。(提供:Incomepress )
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