つみたてNISAを始めるなら、普段からなじみのある銀行と商品数の豊富な証券会社、どちらのほうが良いのだろうか。最長20年間と長い付き合いになるつみたてNISAを行うには、最適な金融機関を選ぶところから始めたい。

つみたてNISA口座は1つの金融機関でしか作れない

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(画像=ProStockStudio/Shutterstock.com)

つみたてNISAを利用するには、つみたてNISA専用の口座が必要だが、1人1口座しか開設できない。開設できるのは銀行や証券会社だ。つみたてNISAと一般NISAは併用できないため、どこかに一般NISA口座を持っている場合、1年単位でないとつみたてNISAへの変更や金融機関の変更ができない。

手続きの流れは、銀行でも証券会社でも変わりはない。つみたてNISA専用口座を作る前に、銀行であれば投資信託専用口座、証券会社なら証券口座を開設しておく必要がある。証券口座を持っている人はいても、投資信託専用口座を持っている人は少ないだろう。一般的に、どちらもつみたてNISA専用口座と同時に申し込みができるようになっている。

非課税の適用には、税務署の確認手続きが必要だ。つみたてNISA口座開設申込書や本人確認書類の提出などいろいろと面倒だが、一度やってしまえばその後は必要ない。

つみたてNISAの手数料は銀行と証券会社で違いはほとんどない

つみたてNISAを運用する際の手数料は、銀行と証券会社で違いはあまりない。個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座管理手数料は金融機関によって差があるが、つみたてNISAには口座管理手数料はかからないため、投資信託の売買や保有にかかる手数料の差のみだ。

つみたてNISAの対象となる投資信託の手数料水準は金融庁から厳しく規制されており、インデックス型投信の場合、国内0.5%(税抜)、海外および国内外が0.75%、アクティブ型投信では国内1.0%、海外および国内外1.5%と定められている。それ以上手数料がかかる商品は、つみたてNISAでは取引できない。つまり、どの金融機関を選んでも手数料はそう変わらないということだ。

銀行のつみたてNISAは取り扱い本数が少ない

つみたてNISAにおける銀行と証券会社の大きな違いは、対象商品の取り扱い本数にある。金融機関のつみたてNISAに対する姿勢は、二極化している状況だ。インターネット証券会社では多数取り扱いがあるが、銀行は対面・ネット問わず商品数が非常に少ない。2019年3月時点のつみたてNISA向け投資信託の取り扱い本数は、以下のとおりだ。

<ネット証券>
楽天証券……150本
SBI証券……150本
マネックス証券……145本
カブドットコム証券……147本
松井証券……146本

ネット証券の取り扱い本数は、いずれも100を超える。金融庁が許可している総登録本数が162本であることを考えると、かなりの商品数であることがわかる。一方、銀行はどうだろうか。

<都市銀行>
三菱UFJ銀行……12本
みずほ銀行……3本
三井住友銀行……3本
りそな銀行……4本

都市銀行は軒並み1ケタ、最も多い三菱UFJ銀行でも12本である。この数では比較検討が難しいので、銀行で取引をすると決めた時点でどの投資信託を買うかは決まったも同然だ。インターネット専業銀行はどうだろうか。

<ネット銀行>
イオン銀行……20本
新生銀行……3本
ジャパンネット銀行……32本

都市銀行よりは多めだが、こちらも本数は限られる。これらを見ると、銀行はあまりつみたてNISAの販売に力を入れていないことがわかる。

なお、対面の大手証券会社はどちらかと言うと銀行寄りだ。

<証券会社>
大和証券……15本
野村證券……6本

つみたてNISAを「取扱商品の豊富さ」で選ぶなら、ネット証券がベストということになる。

銀行でつみたてNISAをするメリットはあるのか

では、つみたてNISAを運用するにあたって、銀行を選ぶメリットはないのだろうか。銀行には、ネット証券にはない「顧客との近さ」がある。自分で煩雑な手続きをしたり、分かりにくい仕組みを調べたりするのが面倒な人は、なじみのある銀行の窓口で説明を受けながら進めたいだろう。

また、証券会社に口座がなく、つみたてNISA以外の投資をするつもりがない場合、つみたてNISAのためだけに証券口座を開くのは抵抗があるかもしれない。

一般NISAや普通の投資信託の売買であれば、銀行のアドバイスだけに頼るのは危険だ。一部の銀行は効率良く手数料を稼げる商品を積極的に営業することがあり、問題になったことがあるからだ。

しかし、つみたてNISAは手数料が一定以下、頻繁に分配金が支払われない、長期で分散投資に向いた商品のみを扱うといった厳しい基準があるので安心だ。

投資初心者で、銀行にしか口座がなく、つみたてNISA以外の投資に興味がない人は、銀行でつみたてNISAを始めるメリットはあるだろう。

文・篠田わかな(フリーライター、ファイナンシャル・プランナー)/MONEY TIMES

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