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(画像=3月20日発売(5月号)の雑誌版カーセンサーの表紙を飾ったのは、三菱 エクリプスクロスとランサーエボリューションX。エクリプスクロスは、2018年に登場した三菱のコンパクトSUV。1.5Lガソリンターボエンジンに、優れた4WDシステムを搭載している「踏んで攻められる」スポーティなSUVだ。そしてランサーエボリューションXは、ランエボことランサーエボリューションの最終モデル。ハイパワーに加え「曲がる4WD」で多くの車好きやマニアを虜にした名車だ)

日本に限らず、現在世界的に人気・注目度ともに高いカテゴリーが「SUV」だ

ご存知のように、今や人気カテゴリーといえばSUV。

大中小、どのサイズのモデルもおおむねヒット作といえるほどです。

SUVはアクティブな雰囲気があって、手に入れたら新しい生活が始まりそうな感じがしますものね。

それまで乗っていた使いやすいステーションワゴンやハッチバックの「背が高い版」なので、乗り替えてもあまり利便性が落ちないことも売れている要素なのかもしれません。

現在各メーカーの屋台骨を支えているだけあって、SUVには指針となる技術やトレンドを盛り込むだけでなく、メーカーの個性も色濃く反映される傾向があります。

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(画像=かつては『ジープ』や『パジェロ』で、また『ランサー』や『ギャラン』といったセダンでもラリーを席巻した三菱は、4WDのイメージが強いメーカー。特に90年代を盛り上げた三菱の主役はランサーエボリューションシリーズ)

三菱のお家芸ともいえる4WDはさらに進化している

現在の三菱は、セダンの製造販売からは撤退しています。

一方、日本はもちろんのこと、世界各国で様々なSUV、本格的な4WDモデルにラインナップを集中させています。

中でも、同社のSUVの中ではコンパクトサイズに属し、世界戦略車としての側面も併せ持つ「エクリプスクロス」は、スポーティさが含まれる傾向にあるSUVの中でも、特にスポーツ性能の高さを感じさせる車に仕上がっています。

併せて傾斜したゲートによってクーペルックなスタイルを得たエクリプスクロスは、メーカー自らが「クーペSUV」と呼んでいます。

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(画像=車高を極限まで落としたら、きっとかっこいい5ドアハッチバックになりますよこの車!)

エクリプスクロスの真の魅力は圧倒的な走りの良さだ

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(画像=濡れた路面での全開走行ではランエボを彷彿させる『曲がる4WD』を体感できる。ここまで踏み込めるSUVはなかなか見当たらない)

多くのSUVは、実際の使用状況を考え、舗装された一般道での走行に重きを置いていています。

しかし、エクリプスクロスの場合、一般路面はもちろんのこと、グラベル(未舗装路)や雪道でも高い次元の走行性能を実現。

しかも、その走り自体を積極的に楽しめる車に仕上がっているのです。

それを実現しているのが、S-AWC(スーパーオールホイールコントロール)。

AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、ACD(アクティブ・コントロール・デファレンシャル)、ASC(横滑り防止装置)、ABS(アンチロック・ブレーキシステム)を統合して車両をコントロールするシステムです。

これは、様々な状態で車両の挙動を安定させ、高いレベルで安定した運動性能を発揮できる、三菱が長年にわたって開発してきた独自の電子制御式4WDシステムなのです。

加えてこのS-AWC、実は2016年に惜しまれつつも生産を終了した名車「ランサーエボリューションX(10)」に搭載されていたシステムなのです。

ランエボXのあの異次元の速さと走りは、S-AWCによるものと言っても過言ではありません。

胸熱! 名車の遺伝子は次世代モデルに生きている

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(画像=2002年のパリ・ダカールラリーで総合優勝した増岡浩さんが操るパジェロ。過酷な環境でも音を上げないタフな性能と、どんな道でもスタックさせない4WD技術こそが、ラリーで勝つための武器だ。このような第一線のレースで得た技術は、三菱の市販車モデルにフィードバックされている)

エクリプスクロスはジープやパジェロ、デリカスターワゴンなど数々の名4WDを生んだ「4WDの三菱」の伝統が継承されているだけでなく、ランエボXから受け継いだ「走りの遺伝子」をしっかりと受け継いでいます。

つまり、エクリプスクロスは三菱の4WD技術の集大成モデルともいえるのではないでしょうか。

余談ですが、エクリプスクロスという車名の「エクリプス」が気になった人も多いかも。

そう、エクリプスといえば、かつてアメリカの三菱で生産していたギャランベースの流麗なクーペです。

存在した4世代のうち、初代から3代目までが日本に輸入されて販売されていました。

エクリプスクロスにその名前が使われているのは、ズバリ、エクリプスクロスがクーペルックだからなのです!

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(画像=これが三菱のクーペ「エクリプス」だ。写真は1995年6月~1997年5月に生産されていた2代目。映画『ワイルドスピード』の中でも主人公のマシンとして活躍していた)

流麗なクーペの遺伝子と圧倒的な高性能4WDシステムという遺伝子が、時代を経てひとつのモデルに統合され生まれ変わっているんですね。

エクリプスというクーペも、ランエボという“名車”も消えてしまったけれど、その優れたDNAがこうして次世代モデルの中で生き続けているなんて、なんだか胸が熱くなる話です!

ここにも、三菱の伝統や思いが息づいているのでした。

text&illustration/遠藤イヅル
photo/尾形和美、篠原晃一、三菱自動車