暑さや寒さをダイレクトに感じる住宅にいると、室温差でヒートショックを起こし、最悪の場合には命を落としてしまうこともあります。一方、住宅を断熱化することで暑さや寒さを解消できるだけでなく、健康にもよい影響があることが分かりました。なぜ住宅の断熱化で健康に好影響が出るのでしょうか。ここでは、住宅の断熱化による健康へのメリットについて紹介します。

室温の低い家に住むとどんなリスクがある?

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(写真=PIXTA)

断熱性が十分でなく、冬には室温が低くなってしまう住宅で暮らしていると、次のような健康上のリスクが発生します。

血圧の上昇と肺感染症のリスクの上昇

室温の低い住宅で暮らしていると、常に体が冷えることによって病気への抵抗力が下がるといわれています。そのため、風邪などにかかりやすくなることは懸念材料です。特に、高齢者は肺感染症による肺炎のリスクも上昇します。

動脈硬化のおそれ

また、冷えによる高血圧が続くことによって、動脈硬化が起こるおそれもあります。動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞などといった命にかかわる病気につながるといわれています。

ヒートショック

部屋によって温度に大きな差があることで、ヒートショックを起こしてしまうこともあります。特に、高齢者が居住する住宅では、温度の低い浴室やトイレなどでヒートショックを起こし、死亡してしまう例も少なくありません。これは急激な温度差によって血圧が乱高下したり、脈拍を変動させたりすることが原因といわれています。

また、室温が低い住宅で暮らしていると、トイレに行く回数が増えます。夜間の排尿の回数が増えることで、夜間頻尿による睡眠不足に陥ってしまうだけでなく、トイレに行く回数が増え、ヒートショックのリスクも高まるでしょう。ヒートショックを防ぐためには、浴室やトイレを含め、居住空間を一定の温度に保つことが大切です。

国交省が断熱改修した住宅の前後について調査。どんな差がある?

このように、断熱性が十分でない住宅には、健康上のリスクが存在しています。住宅の断熱性を向上させることで、快適な住まいになるのはもちろん、健康を守ることができるのです。そして、国土交通省が行った調査によっても、断熱改修した住宅には健康にうれしい効果があることが判明しました。2014年から、国土交通省は「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する調査」を行っています。

2014~2016年までの間に、断熱改修を行った403軒676人を対象として、「改修の前後で、血圧や生活の状況がどう変化したのか」について調査したのです。調査を行う住宅の、リビング、寝室、脱衣所に温度計や湿度計を設置し、居住者には血圧計や身体活動量計で、改修前と改修後の変化を記録していきました。

断熱改修をした家の健康面での変化は?

上記調査の結果、断熱改修を行った住宅の居住者は、改修前に比べ、起床時の血液の低下や夜間にトイレに行く回数が減少するなどの変化が見られました。具体的には、リビングの室温が平均2.5度上昇したことで、起床時収縮期血圧が2.8mmHg低下しています。就寝中に1回以上トイレに行くために起きてしまう夜間頻尿のケースはどうでしょうか。

室温18度未満の家が改修後、18度以上になったことで排尿の回数は1晩当たり1.26回から0.96回に減少しました。これらのことから、断熱改修によって室温を上げることは、居住者の健康的な生活につながることが分かります。

断熱化は健康にも効果がある

住まいの断熱化によって、快適な生活が送れるようになるばかりか、健康にもよい影響を与えてくれることが分かりました。現在、断熱性の低い住宅で暮らしている人は、今後住宅を建てる際、断熱にまで気を配るとよいでしょう。注文住宅を視野に入れているのであれば、住宅会社の断熱工法もしっかりと確認しておくことをおすすめします。(提供:MORIZOU online


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