ネット証券で投資信託を始めたい。ネット証券の手軽さと投資信託の商品性から、そう考える投資初心者のビジネスパーソンもいるのでは?そもそもネット証券は対面型取引の証券会社と何が違うのか?また投資信託とはどのような金融商品なのかという基本的知識から、手数料や商品数まで各社を比較してみよう。

「ネット証券」は店舗や営業担当を置かない顧客自立型証券会社

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(画像=PIXTA)

ネット証券が対面営業を行う総合証券と大きく違うのは、店舗を置かず営業担当者が付かないかわりに、インターネットを介して自分自身で情報を収集して取引するところだ。いつでもどこでも取引できるため、ビジネスパーソンのように多忙で店舗窓口まで出向く時間をとれない人が、隙間時間を使って取引するのには都合が良い。

口座開設数がネット証券第1位のSBI証券では、2013年3月末におよそ260万口座であった口座開設数が、2018年3月末には400万口座を超えるなど、近年ネット証券の顧客は急速に増えている。

ネット証券の人気を押し上げているもう一つの大きな理由が手数料の安さだ。ネット証券業界最安値水準の手数料のライブスター証券では、国内現物株式取引の1注文あたりの手数料がすべて無料キャンペーン(口座開設後2カ月間)を断続的に実施している。

2019年3月時点での1注文あたりの業界最低水準の手数料は、SBI証券、楽天証券、DMM.com証券の54円(税込)~となっている。大手総合証券である野村證券の対面取引による1注文あたりの手数料が2,808円(税込)~であることに比べると、ネット証券の手数料は格安だ。

「投資信託」は手間いらずのリスク分散型金融商品

投資信託は、運用のプロが株式や債券などの銘柄を選定してポートフォリオを組み、たくさんの投資家から集めた多額の資金を運用した成果を投資家に還元する金融商品だ。

ポイントはポートフォリオの銘柄選択と運用をプロに任せられること。さらに投資信託の商品性からさまざまな投資先に資産を分散するため、投資信託1本でリスク分散できる。

投資初心者にとって投資信託が魅力的なのは、個別の銘柄に関する専門知識がなくても投資でき、少額からでも取引できる、積極運用タイプ・堅実運用タイプなど投資信託の投資スタイルを自由に選べる、積立投資信託にすると資産の時間分散になり一層リスク低減を図ることができる、購入時手数料が無料の銘柄も多いなどの特徴があるからだ。

主なネット証券の取扱投資信託

実際に、主なネット証券で購入できる投資信託や購入時手数料無料(ノーロード)投資信託はどれほどあるのかまとめてみた。

ネット証券の投資信託取扱状況一覧
ネット証券会社名 取扱投資信託本数 ノーロード投信本数 特徴やサービス
SBI証券 2,715本 1,359本 ・投信積立は100円から買付可能
・投信積立の購入時手数料全額キャッシュバック
・保有残高に応じてポイント付与(投信マイレージ)
楽天証券 2,661株 1,351株 ・100円から買付可能
・投信積立の購入時手数料全額ポイントバック
・保有残高に応じてポイント付与
松井証券 755本 643本 ・100円から買付可能
・投資信託の購入時手数料全額ポイント還元
・保有残高に応じてポイント付与
マネックス証券 1,184本 760本 ・投信つみたては100円から買付可能
・投信つみたての購入時手数料全額ポイントバック
・投資信託購入時手数料と保有残高に応じてポイント付与
カブドットコム証券 1,103本 678本 ・100円から買付可能
・保有残高に応じてポイント付与
岡三オンライン証券 500本 331本 ・投信積立は100円から買付可能
・購入時手数料全額キャッシュバック
・保有残高に応じた優遇サービス
ライブスター証券 1本 1本 ・取扱ファンドは「ひふみプラス」

※上記一覧は各証券会社のホームページを参照して作成。

主なネット証券のうち、取扱投資信託本数で圧倒的なのはSBI証券と楽天証券だ。主要ネット証券に追随するDMM.com証券やGMOクリック証券では投資信託の取り扱っていない。それ以外のネット証券では、取扱本数でSBI証券や楽天証券には及ばないものの、ノーロード中心にプロの視点から銘柄を厳選して提供している。

投資信託を取り扱う大半のネット証券では、投資信託または投信積立を100円から買い付けることができるので、大きな資金を用意しなくても始められる。こういったことも投資初心者に投資信託が向いている理由に挙げられる。

各ネット証券では投資信託への投資を促進するために、投資信託取引に対して手数料全額キャッシュバックやポイントバックなどの恒久的なサービスを実施している。

投資初心者はローコストとリスク分散を意識した取引を

ネット証券を使うメリットは、手数料の安さと自分の都合に合わせた取引ができる手軽さだ。ただし、本格的な取引を行うためには、自分自身で投資情報の精査や企業分析などを行う必要もある。

これから投資を始めるなら、まずはネット証券に口座を開設し、プロに運用を任せられて比較的ローリスクな投資信託で投資の経験を積み、その間に投資環境や企業を見る目を養うのもよいだろう。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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