昨年、講談社の現代新書『銀行員はどう生きるか』が業界内で広く読まれた経済ジャーナリストの浪川攻氏がこのほど、その続編ともいえる『銀行員は生き残れるか――40万人を待ち受ける運命』(悟空出版)を上梓した。銀行をはじめとした金融機関を取り巻く環境は刻々と変わっている。日に日に厳しさを増している。全国の銀行や信用組合など金融機関を、長年丹念に取材し続けているジャーナリストが現場から提案する「銀行のあるべき姿」とは――。(取材、構成・濱田 優 ZUU online編集長/写真・森口新太郎)

※ 取材は3月28日に行われました。

なみかわ・おさむ
1955年東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年株式会社きんざい入社。『週刊金融財政事業』編集部でデスクを務める。96年退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、98年に東洋経済新報社と記者契約を結んだ後、フリーに。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』(東洋経済新報社)、『銀行員はどう生きるか』(講談社現代新書)などがある。

目次

  1. 新しい時代の銀行の姿、そこで生き残れる銀行員の姿
  2. 銀行の敵はフィンテック企業ではない
  3. 「お客様と一生付き合います」と宣言した銀行員が1年で転勤
  4. 客は「オーダー」のスーツが欲しいのにいまだに「吊るし」を売っている

新しい時代の銀行の姿、そこで生き残れる銀行員の姿

特集「金融 大サバイバル」
(撮影=森口新太郎、ZUU online)

――2018年4月に前著『銀行員はどう生きるか』を、約1年後の今年3月に新刊『銀行員は生き残れるか』を上梓されました。タイトルから新作は続編という位置づけなのかなと思いますが、これらをまとめた経緯や思いについて教えてください。

まず前著『銀行員はどう生きるか』のメインテーマですが、これは一昨年2017年にみずほフィナンシャルグループが1万9000人の人削減を発表するなど、メガバンクが大規模なリストラの方針を打ち出したことや、銀行や金融機関がデジタル化を推し進める流れがある中で、そうした流れや施策のインパクトをどう考えるのかということでした。

それから1年たち、今回出した『銀行員は生き残れるか』の自分なりの意味合いは、もうちょっと具体的に、銀行という存在がどういう姿になってるのか、どうデザインされつつあるのか、その中で銀行員がどういうように働くことになるか、ということを考えたかったということです。新しい世界で成長できる銀行員と、成長できない銀行員、極端な言い方をすると、評価される人間と切り捨てられる人間の差は、どういうふうに出てしまうんだろうか、ということを書きたかった。

――前著を出された後の取材の成果ということでしょうか。

実は前著を出した後、かなり意識的に全国の銀行の現場を回ったんです。本部の経営者ではなく、営業店で働いてる30歳前後の人たちに会いました。そこで彼らの本音とか、今どういう仕事で悩んでるのかというのを、かなり聞くことができたました。