2018年7月、金融庁の長官に遠藤俊英氏が就任した。その前の森信親氏は3年の長期にわたって務めた。「成功モデル」として評した地方銀行が不正融資問題を起こすなど、森氏のやり方や功績に疑問符をつける人もいるが、大胆な改革案を提示して金融行政に変革をもたらしたことも事実だ。後任の遠藤氏も改革の方針はとりながらも独自性も出している。金融行政が変わる中で、銀行などの金融機関はどう変わっていくのか。(取材、構成・濱田 優 ZUU online編集長/写真・森口新太郎)
※ 取材は3月28日に行われました。
目次
銀行はまだまだOHRを改善できる
――前回は銀行がデジタル化、フィンテック化を推進して効率化を図るべきというお話でしたが、米国の銀行には成功しているところもありますね。
米国の銀行はOHR(Over Head Ratio、業務粗利益経費率)がどんどん下がり始めています。たしか五十数パーセントくらいです。これに対して日本の銀行って、メガバンクは七十%程度ある。グローバルで展開しているだけにコストがかかるのも分かりますが、地銀なんかでも70%前後、なかには80%程度もあります。そんなの上場企業としたらダメですよね。せめて50%台に下げないといけないと思います。
たしかにコストは下げているのかもしれませんが、それ以上に収益の伸び悩みが、OHRが改善しない理由でしょう。ただ僕の目から見れば、まだまだ経費率を下げることはできると思うんですよ。
経費率をどうやって下げるのかと考えた時に一番いいのはデジタル化、IT化です。それができないんだったら、もう経営陣が給料を思い切って下げるしかないですよ。あるいは役員数を減らすとか。それこそ半分くらいまで減らしてもいいところもあるんじゃないですかね。大体コストがかかりすぎている会社って、役員とか執行役員がいっぱいいたりするものですからね。