NISAでは適度なリターンを追及しながら、大損を避けるためのリスク管理をする必要がある。リターンの観点でみると、主要先進国の中でも高い経済成長が期待される米国株式は魅力的だ。しかし、高いリターンが期待できるが、投資初心者にとって個別株式はリスクが高い。そこで注目したいのが米国株ETFだ。
NISAでは先進国の中で高い経済成長が期待される米国に注目
NISAで資産運用する場合、長期的なリターンを積み重ねることが重要だ。リターンを長期的に得るにはその資産が属する国の経済成長がカギとなる。日本の場合、伸び悩む物価上昇率や少子高齢化の進行といった問題により経済成長が期待できない。国際通貨基金(IMF)の経済見通しによると、日本の2019年の予想経済成長率は0.9%で、2020年には0.3%まで低下すると見られている。
一方、米国の2019年の予想経済成長率は2.5%と日本を大きく上回る。2020年も1.8%と、主要先進国の中でも高い成長が予想されている。
NISAではリスク抑制が重要
長期的なリターンを考えるうえで、忘れてはならないのがリスク管理だ。高い経済成長が予想されるため、その恩恵を受けやすい特定の米国企業の株式を買いたいと考える人もいるだろう。しかし、個別株式への投資はハイリスクであり、相場下落局面では大きな損失につながりやすい。
分散投資効果のある米国株ETFでリスクを抑える
分散投資効果のある米国株ETFに投資することで、個別株式への投資と比べてリスクを大きく抑えることができる。分散投資とは投資先に多様性を持たせることだ。「卵は一つのカゴに盛るな」と例えられることもあり、分散投資はリスク回避の基本的な考え方となっている。
米国株ETFのリスクは、国内・海外での個別株式投資よりも低く、国内・海外での債券投資よりは高いといった水準だ。後述する為替リスクが絡む分、日本株ETFよりもリスクは高い。しかし、経済成長リスクは日本よりも米国のほうが低いことを踏まえれば、リスク水準に大きな差はないと見ることもできるだろう。
米国株ETFは値上がり益よりも配当重視で
分散投資効果のある米国株ETFとはいえ、値上がり益を追求しようとするとリスクが高まる。値上がり益は将来売却してはじめて確定する。売却までの間リターンが変動するというリスクがあるので、値上がり益を追求することはリスクの高い投資スタイルといえるだろう。
一方、配当重視の米国株ETFはリスクが相対的に低くなる。配当金または分配金という形で利益が定期的に確定するので、リターンが変動するリスクが抑えられるからだ。これを背景にファイナンスの理論では高配当・高分配資産は、相場下落局面で比較的売られにくいとされている。2018年後半のような弱い相場でも、損失を抑えやすいということだ。
NISAで買える高利回り米国株ETF銘柄3選
分散投資と配当重視を両立できる高利回り米国株ETFを3つ紹介しよう。
SPDR・S&P・米国高配当株式ETF
運用会社は、米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ。直近配当利回りは2.23%、経費率(信託報酬・売買委託手数料・保管費用などを合わせた総コスト率)は0.35%だ(2019年2月6日時点)。S&P500高配当指数に連動したパフォーマンスを目標として運用され、S&P500採用銘柄の中で主に高利回り銘柄に投資している。主な取り扱い金融機関はSBI証券、マネックス証券、楽天証券。
iシェアーズ・コア高配当株ETF
運用会社は米ブラックロック。直近配当利回りは3.03%、経費率は0.08%だ(2019年3月16日時点)。幅広い時価総額レンジの銘柄で構成されたモーニングスター配当フォーカス指数に連動したパフォーマンスを目標として運用されている。主に消費財、生活必需品といった景気変動の影響を受けにくいセクターに投資している。主な取り扱い金融機関はSBI証券、楽天証券。
バンガード・米国高配当株式ETF
運用会社は米バンガード・ グループ。直近配当利回りは3.42%、経費率は0.06%となっている(2019年3月16日時点)。高い水準の配当を出す株式で構成されるFTSEハイディビデンド・イールド指数に連動したパフォーマンスを目標として運用されている。主に金融やヘルスケア、消費財といったセクターへの投資配分が大きい。主な取り扱い金融機関はSBI証券、マネックス証券、楽天証券。
NISAで高利回り米国株ETFに投資する場合の2つの注意点
前述のメリットがある一方で、投資する際に注意しなければならないポイントもある。主な注意点は以下の2つだ。
ETFではマーケットリスクが抑制できない
ETFでは個別リスクは抑制できても、マーケット全体の値動きに起因するリスクは抑制できない。米国株ETFであれば、S&P500指数やナスダック総合指数の値動きがリターンに大きく影響する。さらにこれら指数の値動きは各国の金利水準や経済成長率、インフレ率、財政政策などの影響を受ける。分散投資効果のあるETFとはいえ、こうした複数の要素の変化によってリターンが大きく変動する可能性がある。
海外投資は為替リスクがある
米国株ETFのリターンは、米ドルで受け取ることになる。資産を日本円ベースで貯めているなら、米ドルを日本円に交換する必要があり、この際為替変動の影響を受ける。仮に為替が1ドル100円から1ドル90円になった場合(円高・ドル安)、円ベースのリターンは10%目減りしてしまう。円安・ドル高になった場合はリターンが増えることになるが、いずれにしても為替変動によるリターン変動リスクがあることを忘れてはならない。
文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES
【関連記事 MONEY TIMES】
つみたてNISAを始める 金融機関選び 4つのポイント(PR)
40代でやっておきたい「投資・運用」3つのステップ
「つみたてNISA」(積立NISA)とは?メリットやデメリットも解説
「月1,000円から」「おつりで投資」スマホで投資できるアプリ4選
「1万円」でディズニーランドの株主になる(PR)