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(画像=古賀社長は飲食店の成功の鍵は「人」だと語る)

ブログで知り合った井戸実氏に協力要請「押し切る情熱」

古賀社長の父親は佐賀大学工学部の教授で、古賀社長自身、佐賀県最難関の佐賀西高校卒業後、熊本大学工学部に進学している。在学中に飲食業界の面白さに目覚め、6年かけて大学を卒業後、東京に出て飲食店に就職。研究者への道を望んでいた父親からは反対されたが、我が道を貫き、その後、イタリアで3年ほど修行した。

独立の経緯も独特で、支援したのが株式会社エムグラントフードサービスの井戸実社長である。個人的な面識は全くなく、古賀社長がブログ上でアプローチをしたのがきっかけとなった。

━━井戸社長とのつながりはブログだったと聞いています

古賀 イタリアで修行をしていた頃、ブログを書いていました。当時、井戸社長や、サブライムの花光雅丸社長のブログをよく見ていたのですが、ある時、井戸社長にメッセージを送りました。「僕はこういう人間で、一緒にやる人間もいるし、その辺の店には負けるつもりはありません。ただ、お金と箱(店舗)がありません。何とかなりませんでしょうか」と。すると井戸さんから「じゃあ、帰国したら話を聞いてやるよ」という返事をいただきました。

━━どうして井戸さんだったのでしょう

古賀 井戸さんはブログで「誰かチャレンジしたい人間はいないのか」みたいな感じを出していて、ぶつけてみたら、少しは響くかもしれないという思いがありました。

━━実際にお会いした時はどうでしたか

古賀 こういう店をやりたいということで、いくつかプレゼンをしたら「ああ、いいね。渋谷でやるならいいよ」と。

━━普通はブログでお願いしてもなかなか信用されませんが、それを出資までさせるほど信頼してもらえるのはなぜでしょうか

古賀 とりあえず、自分ができるすべてをしようと考えました。手紙を書く時も何通か書いて、どれが本当にいいのだろうかとか、服装とか、店の席とか、気に入ってもらえるようなことはすべて気を使います。会う時も、井戸さんは時間より早くいらっしゃる方だと聞いていたので30分前には到着するとか。その時は井戸さんが25分前に来て危なかったですが(笑)。それから熱意。どうやったら自分の思いが伝わるだろうかと、話し方も考えました。最後に相手を押し切るというか、そういうパッションも大事です。

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(画像=初出店時のエピソードを語ってくれた古賀社長)

目指すはオンリーワンの存在、古賀社長を突き動かす原動力

━━大学教授のお父様からはこの道に入ることを反対されたとか

古賀 めちゃくちゃ反対されました。大学を卒業する時は卒業証書だけもらって自宅に郵送し、その次の日には東京に出てきました。もう父親との関係は悪かったですから。

━━最近はどうですか?

古賀 東京に出て3年後ぐらいに初めてレストランに来てくれました。そこからは応援してくれるようになりました。

━━ダルマプロダクションの10年後、20年後をどのように考えていますか

古賀 10年後、20年後が分かってしまうような想定はしたくないと思っています。結果として50年残る会社は立派だと思いますが、10年後、20年後を想像しながらやるほどつまらない人生にはしたくないという思いがあります。

━━社会においてどういう存在でありたいとお考えでしょう

古賀 存在としてはオンリーワンになりたいと思います。そこに誇りを持って働いてくれる人がいれば、それでいいかなと。1店舗ずつしっかりつくって、「あいつらのやってることは何か面白い」「どの店も真似できない」という存在であることは、絶対に崩したくない部分です。

━━熊本大学を卒業され、安定した生活を選ばずにリスクの多い道を選び、今もそこを突き進んでいる、その原動力となったものは何でしょうか

古賀 皆さんからすれば「何でわざわざリスクを」と思うのかもしれませんが、僕の中では当然の道を進んでいるだけです。その原動力をあえて言えば、自分の人生だから、コントロールは自分でしたいという思いでしょうか。

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(画像=不利な立地ながら連日多くの客で賑わう)

古賀慎一(こが・しんいち)
1979 年4月、佐賀県生まれ。株式会社ダルマプロダクション代表取締役。佐賀西高校を卒業後、熊本大学工学部に入学。在学中に飲食の世界の面白さを覚え、大学卒業後に東京のイタリアンレストランで3年修行。その後イタリアで3年間働いて帰国。2012年2月に「オステリア ウララ」をオープン。現在は8店舗を運営する。

『オステリアウララ』
住所/東京都渋谷区猿楽町1-3 ユガテビル1F 2F
電話番号/03-5459-2155
営業時間/11:30~15:00(土日祝12:00~15:30)、18:00~2400
定休日/火曜
席数/45

(提供:Foodist Media

執筆者:松田 隆