NISAやiDeCoといった資産運用への優遇制度の普及が追い風となり、投資を始める人たちが増えている。投資信託の購入を検討している人たちも少なくないだろう。しかし、非常に多岐にわたる投資信託の中から、どの商品が自分自身にマッチしたものなのか、選択に悩むこともあるはずだ。そこで、投資信託を選ぶ際に、着目すべき手数料や信託報酬、運用パフォーマンス、リスク・リターンの観点から投資信託について考えてみたい。

1)手数料

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(画像=ShutterOK/Shutterstock.com)

投資信託を選ぶ際に見るべきポイントのひとつは、投資信託の購入時にかかる「販売手数料」だろう。この費用は、投資信託を販売する各金融機関に支払うもので、一般的に購入金額の1~3%が目安である。簡単な例を挙げると、投資金額が10万円、販売手数料が1%(税込1.08%)の投資信託を購入する際、販売手数料は1,080円となり、これを10万円とは別に用意する必要がある。

なお、最近は販売手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる投資信託が増えてきている。少しでも手数料を抑えたいと考えている人は、ノーロード投資信託も選択肢に入れておこう。

2)信託報酬

ふたつ目のポイントは「信託報酬」という、投資信託の保有期間中にかかる管理手数料だ。信託報酬は投資信託を販売する「販売会社」、投資家に代わって運用する「運用会社」、投資家の資金を管理する「信託銀行」の3社が分け合う。通常、信託報酬は投資信託の大きさを示す純資産総額に、0.5%~2%ほどをかけた金額となる。

着実な資産形成を図ろうとする場合、その投資期間は長期に及ぶだろう。信託報酬は投資信託を保有している限り、ずっと支払う必要があるため、自身の運用成績を高めるためにも、なるべく信託報酬の低い投資信託を運用したい。

3)運用パフォーマンス

続いてのポイントは、投資信託の「運用パフォーマンス」だ。「トラックレコード」と呼ばれることもあり、投資信託の運用成績を指す。言うまでもなく、投資信託を購入する目的は資産を増加させることだ。着実に成果を上げている優秀な投資信託に、資金を託すことを常に目指したい。運用パフォーマンスは、投資信託の値段を表す「基準価額」をチェックするとともに、純資産総額を確認するようにしよう。これは、優秀な投資信託には投資家の資金が集まりやすい傾向にあるためだ。

4)リスク・リターン

投資信託選びの最後のポイントが、投資信託に内在する「リスク・リターン」だ。投資信託では株式や債券によって資産運用が行われているが、これらの価格は、国内外の政治・経済情勢など、さまざまな要因によって変動するため、短期間に資産価値が上がったり、下がったりするリスクがある。一般的に海外株式、特に新興国株式に投資する投資信託は、ハイリスク・ハイリターンとされる。外国の株式や債券の価値は、為替相場の影響を受けるうえ、投資対象国において、何らかの事情で証券市場や為替市場に混乱が生じる「カントリーリスク」があるからだ。

投資信託を購入する際は、こうしたリスクのあることを念頭に、自分自身が投資でどの程度の利益を得たいのか、もしくは、どの程度の資産減少ならば許容できるのかを把握しておくことが大切である。大きく資産を増やしたければ、利幅の大きい海外の株式などに投資するタイプ、着実な利益確保を望むならば債券に重きを置く投資タイプといった具合に、自分に合った投資信託を選ぶことができる。

今回は、投資信託を選ぶ際に着目すべき手数料や信託報酬、運用パフォーマンス、リスク・リターンの観点から、投資信託について考えてみた。これらの注意点を念頭に置きながら、優秀な投資信託に投資して、実りのある資産形成を実践してみよう。