「個人でも会社を買える」とか、「中間管理職の会社員でも、いきなり社長になれる」などと言われて、あなたはその話をすぐに信じられるだろうか ?

日本の人口で大きなウエートを占める団塊世代が70歳前後に差し掛かっている今、多くの中小企業の経営者が引退を余儀なくされており、後継者不在に伴う事業承継の危機が社会問題化している。後継者が見つからなければ、中小企業の経営者としては、会社は第三者に売却するか、廃業するかの二者択一を迫られる。こうしたことから、中小企業のM&Aを仲介するサービスのニーズが高まっている。

現に、「会社 M&A」のキーワードでネット検索を行ってみると、前述したサービスを展開している企業が続々とヒットする。しかも、その中には「会社を誰かに譲渡したい中小企業経営者」と「会社を買収したい個人」をマッチングさせるサービスまで存在している。

中間管理職から経営者に転身して収入増、そしてキャピタルゲインも !

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(写真=PIXTA)

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』 (講談社 (2018年4月20日)) という書籍が話題を集めたのをご存じだろうか。

これは、日本において99%以上を占めている中小企業のうち、実に380万社に及ぶ約7割で後継者が見つからず、タダ同然でもいいから会社を譲り渡したいと考えている経営者が少なくないことにスポットを当てた本である。

数十人の部下を率いてきた経験のあるミドル層の会社員なら、思い切ってそういった会社を買収し、今度は雇われる側ではなく、経営者として新たな人生と収入を手にしてみてはどうかと提言しているのだ。同書は、中小企業が後継者不在で困っている「大廃業時代」こそ、会社員が大きな転身を遂げる“期間限定”の好機だと訴えている。

中小企業のオーナーになった後も、手掛けるビジネスに違いが出てくるにせよ、同じような規模のチームを指揮しているという立場には変わりがない。しかしながら、中小企業のオーナーとなったあなたは今までとは比べものにならない大きな権限を得ているし、役員報酬も入ってくる。

そのうえ、先にも述べたように、中小企業を巡る今のM&Aは、完全に売り手が弱みを握られており、完全なる“買い手市場”となっている。黒字企業でもかなり割安な価格で手中に収められるわけで、現状の業績を保つ程度であってもとにかく目の前の「大廃業時代」を通過できれば、買値よりも高い価格でその会社を売却できる可能性がある。

つまり、オーナー社長を務めている間は役員報酬で会社員時代を凌ぐ収入を得て、最後にはキャピタルゲイン (会社の売却益) まで期待できる可能性があるわけだ。一般的な株式投資とも明らかに一線を画しており、ある意味、新しい”オルタナティブ投資”と言えるのではないだろうか ?

働きがいと資産運用を両立させる成功術となるかも ?

目覚ましくグローバルな規模で環境が激変していく時代であるだけに、もはや大半の企業はかつてのようなピッチで従業員のベースアップに応じる余裕がない。副業を容認する姿勢が打ち出されるようになっているのも、そのことを象徴していると言えそうだ。

言い換えれば、ただひたすら社内にとどまっているだけでは、これまで自分が培ってきた経験やスキルがなかなか収入アップに直結しにくいということでもあろう。しかし、「廃業の危機に晒されている中小企業を自分が買収する」という大きなチャレンジにも視野を広げれば、自分のキャリアを生かしながら金銭的に大きなリターンを追求できる可能性が開けてくる。

従来、仕事は仕事、資産運用は資産運用といったかたちで切り離して考えられてきたが、この「廃業危機の中小企業を買う」という発想は、一挙両得のハイブリッド型の成功術なのかもしれない。キャリア面と金銭面で自分の可能性を高めるアプローチとして、視野に入れてみるのはいかがだろうか。(提供:大和ネクスト銀行

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