不動産投資の出口戦略の1つに、所有している不動産の売却が挙げられますが、売却する際にどのような税金が発生するのでしょうか?今回は、売却の際に係る不動産の譲渡所得税の計算方法に加え、譲渡所得税を抑える方法について解説します。

不動産の譲渡所得税について

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(写真=supawat bursuk/Shutterstock.com)

個人の場合の不動産の譲渡所得税とは、正確には所得税と住民税のことです。所得税と住民税の計算を行う際には、譲渡所得を求める必要があります。譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡価格とは、不動産を売却した時の価格のことで、取得費とは購入した時の価格に仲介手数料や印紙税、不動産登録税といった諸費用を加えた価格です。

譲渡費用とは、不動産を売却する際にかかった諸費用のことで、仲介手数料や印紙税などです。

取得費は、土地と建物に分かれ、建物部分は所有期間中の減価償却費を購入時の金額から差し引いた金額になります。

所有期間で税率が異なる

居住用不動産の場合には、築年数の経過によって価格が下がるケースが多く、再開発などによってその地域の地価が上がることがない限り、売却価格が購入価格を上回ることは少ないでしょう。

しかし、投資用不動産の場合には、運用状況が不動産価格に影響を与えるため、購入時は空室が目立っていて安く購入できて、売却時は満室たったため高く売却できたなど、売却価格が購入価格を上回るケースもあります。

そのようなケースでは、譲渡所得に対して所得税と住民税が発生しますが、不動産の所有期間によって税率が大きく異なるので注意が必要です。所有期間が異なった場合の税率は以下の通りです。

<所有期間5年以下の場合の税率(短期譲渡所得)>
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興所得税0.63%+住民税9%)

<所有期間5年超の場合の税率(長期譲渡所得)>
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興所得税0.315%+住民税5%)

※復興所得税:2037年12月31日まで所得税に2.1%加算される特別税

所有期間の基準は1月1日が基準になるので注意が必要です。例えば、2014年4月1日に取得した不動産を2019年5月1日に売却したケースでは、所有期間は5年1ヶ月ですが、売却したのは2019年1月1日現在になるため、4年8ヶ月になります。

また、2013年4月1日に取得した不動産を上記と同時期に売却したとすると、所有期間は6年1ヶ月ですが、売却したのは2019年1月1日現在になるため、5年8ヶ月になります。

実際の所有期間とは誤差が生じるので注意しましょう。

所有期間5年以下で売却する際には注意

所有期間5年以下で売却した場合には、譲渡所得に対して39.63%の課税が行われますが、所有期間5年超で売却した場合には、譲渡所得に対して20.315%の課税ですみます。

投資用不動産の場合は、ある程度運用してから売却するため、所有期間が5年以下になるケースは少ないかもしれませんが、昨今地価の上昇や投資用不動産の価格上昇などで売却を検討している人も多いと思います。

しかし、所有期間5年以下の場合には、税率が約2倍異なってくるため、出口戦略として売却を視野に入れる際には、5年以下で売却するのではなく、5年超で売却した方が良いと言えるでしょう。

なお、売却価格が購入時の価格を下回ることが確定している場合は、所有期間を気にせず、少しでも高く売却できるタイミングを意識しながら売却を進めていきましょう。(提供:Owners Innovation

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