低金利のうちにと住宅ローンの借り換えを検討する人も多い。しかし既存の住宅ローンの審査は通ったのに、借り換えの審査で落ちるケースもある。住宅ローンの借り換え審査に落ちないために7つのポイントを抑えておきたい。
住宅ローンの借り換えは家計を見直すときの大きなポイント
2018年の総務省の調査によると、住宅ローン返済世帯における毎月の可処分所得の平均は50万6,605円。それに対して、住宅ローンの返済は月8万8,186円と家計の約17.4%を住宅ローンの返済が占める。
特に29歳以下の若い世代は可処分所得が少ないため住宅ローンの返済が占める割合は21%と高く、住宅ローンがいかに家計を圧迫しているのかがわかる。
家計を見直すときは元本返済や借り換えなどを活用し、毎月の住宅ローンをいかに減らせるのかが大きなポイントになる。
住宅ローンの借り換えでチェックしたい7つのポイント
日銀の金融緩和政策が続いており低金利時代が続いている。2019年4月のフラット35(21年~35年・旧団信利用)の金利は0.98%だ。
毎月の住宅ローンの返済を減らして家計を楽にするために、住宅ローンの借り換えは有効な手段だ。借り換え時に金利の引き下げや、期間の延長ができれば毎月の返済額を大きく減らせるからだ。
住宅ローンの借り換えでは、物件価格に対して住宅ローンの返済が進んでいるので、物件と融資額に関しては審査が通りやすい。その反面、他の要素で審査が厳しくなる。借り換えの審査で注意したいポイントは以下の7つだ。
(1)住宅ローンの過去の返済履歴――ローンの滞納はないか?
返済履歴は借り換えの審査でもっとも重要な項目。最初の住宅ローンの審査とは違い、借り換えの際は住宅ローンの返済履歴をチェックされる。
これまでに住宅ローンの返済が滞っている履歴があると審査が通過しにくい。1度の遅れくらいはという甘い気持ちは捨てるべきだ。
(2)返済負担率――税込み年収は返済負担率の範囲内か?
金融機関は税込み年収に対して住宅ローンがどの程度占めるかを表す返済負担率を重視する。返済負担率=年間返済額÷税込み年収×100で計算される。返済負担率は各金融機関によって30~45%と異なる。
(3)雇用形態――借り換えのときは正社員か?
最初に住宅ローンを組んだときは正社員だったが、借り換えの際に雇用形態が変わっている場合には借り換えが難しくなる。
金融機関では派遣社員、契約社員は対象外としているケースが多く、さらに借り入れ時には年齢が上がっているため正社員でない場合には評価が下がる。一部の金融機関では自営業者を対象外としているケースもあるくらいだ。
(4)勤続年数――1年以上の勤務年数はあるか?
住宅ローンを借りた後に転職した場合は勤務年数に注意が必要。最低でも1年以上は勤続年数がないと審査は厳しくなる。
(5)年収――100万円以上の年収はあるか?
年収のハードルは意外と低いものの、年収が100万円以上ないと借り換えは難しい。
(6)完済年齢――完済年齢は80歳未満でローンを組めるか?
借り換えの場合は住宅ローンの借り入れ時よりも年齢が上がっているので完済年齢には注意したい。約78%の金融機関で完済年齢は80歳未満に設定している。融資期間が短くなると毎月の返済額が増えてしまうので、借り換えのメリットそのものが少なくなってしまう。
(7)健康状態――団体信用生命保険に加入できる健康状態か?
住宅ローンの融資を受けるにあたって、団体信用生命保険の加入が条件となっている金融機関が多い。心臓の疾患や糖尿病など年齢が上がると健康面での不安も増える。持病があり団体信用生命保険に加入できないと借り換えは難しい。
現在借りている金融機関に住宅ローンの金利交渉をする方法もある
住宅ローンの借り換えの審査に通らない場合は、現在、住宅ローンを借りている金融機関に金利や融資期間の延長を交渉する方法もある。
融資期間の延長は完済時の年齢などもあるので簡単には応じてもらえないが、金利交渉については意外に応じてくれるケースも多い。
住宅ローンの借り換えは、既存の住宅ローンの借り入れ時に比べて掛かる費用も少なく断られても損はないので、迷ったときは金融機関に相談してみるといいだろう。
文・山本智也(宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター)/MONEY TIMES
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