カーセンサーnet上には40万台以上の物件が掲載されている。物件チェックを日課とする筆者が、その中から偶然見つけた「なんだこの中古車は!!」という物件を紹介しよう!
何気なく商用バンを眺めていると……
最近、ライトバン型の商用車といえば、トヨタ プロボックスの独壇場と化している。高速道路をちょっと走れば、絶対に遭遇する車と言ってもいいほどだ。
しかし、気がついたらトヨタと日産(日産車のOEMでマツダ、三菱もあるが)しか生産していない。
そんなライトバン型の商用車のセグメント、一昔前までは各社手を出していた。
その中の1台が、ホンダが2代にわたって生産していたパートナーだ。原稿執筆時点(4月10日)、カーセンサーnetに掲載されているのはたったの20台。そのうち初代は4台しか掲載されていない。
中古車相場を見ると初代の平均価格は19.3万円なのに、車両本体価格228万円と突出して高い物件を発見!
搭載されるのはなんとタイプRのエンジン
よくよく見ると「B18C搭載」とある。これは初代インテグラタイプRが搭載していた1.8Lエンジンで最高出力200ps(インテグラタイプRのカタログ値)をたたき出す、公認改造車だ。
そもそもパートナーは、6代目シビックがベースのステーションワゴン、オルティアの商用車だった。そんなオルティアの装備を簡素化したのが、パートナーだ。
とはいえ、四輪独立懸架式サスペンションを採用していたのは、商用車としては贅沢だったし衝撃的。コストがかかっていたし、商用車らしからぬ乗り心地の良さはオルティア譲りだった。
当該中古車、外装こそはノーマルの雰囲気を保っているが、中身がすごい。フロントアッパーアーム、リアアッパーアームを公認改造している他、クスコ製LSDタイプMZ、メタルディスク、軽量フライホイールなど……ここでは挙げきれないほど改造されている。
またショックアブソーバーはスプーン製車高調整式となっているし、ブレーキもスプーン製モノブロックブレーキキャリパーを採用している。
早い話、パートナーのボディにインテグラタイプRが“移植”されているのだ。
にも関わらず、ウインドウは電動ではなく手動という、昔ながらの営業車っぽさがたまらない。
「時間に追われている営業の方、取引先にいつもすぐに来いと言われている営業の方いかがですか?」という販売店のウリ文句もたまらない。
▶記事で紹介したホンダ パートナーを見てみる(※掲載終了の可能性があります)
これこそまさに“羊の皮を被った狼”
自動車メディアにおいて、見かけは速そうじゃないのに速いクルマを“羊の皮を被った狼”と表することは常套文句となりつつある。かつては、BMWのM車によく使われてきたフレーズだが、最近のM車はスポーツカーのオーラを外装から十分に放っている。
その点、このパートナーは本物の“羊の皮を被った狼”。いやはや、労力とお金を考えたら、前オーナーに足を向けて寝られない……。当該パートナーで一般的なスポーツカーをぶっちぎれる、と考えただけでワクワクする。
たしかに車両本体価格228万円はパートナーとしては高額だが、ゼロから同じものを作り上げることを考えれば安い、と思えるだろう。
この車が気になった猛者はぜひ、在庫の有無をチェックしてみてほしい。
それにしても奥が深いぜ、中古車!
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/カーセンサーnet
自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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(提供:カーセンサー)