最近、ノンアルコール飲料を提供する飲食店が目立つようになってきた。ノンアルコール飲料とはアルコール分を含まないアルコールテイストの飲み物のことで、車で来店した客など、事情があってお酒が飲めない場合などに飲まれることが多い。飲料メーカー各社から新作が続々登場しており、最近ではサントリーが無色透明のノンアルコールビールを販売し話題となった。その市場規模は年々拡大しているようにも思える。
実際のところノンアルコール飲料を取り入れている飲食店はどれくらいあるのか。今回の「飲食店リサーチ」では、飲食店のノンアルコール飲料の提供状況についてアンケートを実施。ノンアルコール飲料をどのように集客につなげているのか、その事例とともに紹介する。
調査概要
調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:261名
調査期間: 2018年4月12日~2018年4月17日
調査方法:インターネット調査
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回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち67.0%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は59.0%(首都圏の飲食店の割合は73.2%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
約8割の飲食店がノンアルコール飲料を提供!
まず、ノンアルコール飲料を提供しているかどうかを聞いたところ、「提供している」が83.5%と、「提供していない」16.5%を大きく上回る回答が得られた。
また、ノンアルコール飲料を「提供していない」と回答した店舗に対し、今後ノンアルコール飲料の取り扱いを検討しているかどうかを尋ねると「検討している」59.4%、「検討していない」40.6%という結果に。すでに提供を行っている飲食店や、今後の提供を検討している飲食店の多さからも、ノンアルコール飲料の需要の高まりを読み取ることができる。
主流は「ノンアルコールビール」。提供数は増加傾向に
近年は消費者ニーズの高まりで、ノンアルコール飲料も種類豊富に。選択肢は広がっているが、飲食店で提供するノンアルコール飲料は、どんな種類が多いのだろうか。
ノンアルコール飲料を「提供している」と回答した店舗に対し、取り扱っている種類について聞いたところ(複数回答可)、最も多かったのは「ノンアルコールビール」93.6%。続いて「ノンアルコールカクテル」34.4%、「ノンアルコールワイン」10.1%、「ノンアルコール酎ハイ」5.0%、「その他」10.6%という結果だった。普通のビール同様に業態を選ばず提供しやすいことがこの結果につながっているといえるだろう。
ノンアルコール飲料を集客つなげるために
ノンアルコール飲料を提供する飲食店が増える今、それを売りにするには他店から一歩進んだ工夫が必要となってくる。ノンアルコール飲料を集客につなげるために、どんな提供方法を行っているのかを聞いてみた。
●オリジナルドリンクの提供
「既製の商品を使わず、自店でお酒のアルコールをとばしてカクテルに使用。フレッシュのかんきつ類などを使い、香りをよくして提供している」(東京都/フランス料理)
「ウォッカやラム、焼酎ベースのカクテルはだいたいノンアルで作っても美味しい。アルコール量の調整もしやすく好みも聞きやすい。シェーカーなどを使うことでアルコール飲料と同額レベルを取れる場合も多い」(東京都/その他)
「女性客には、季節ごとに旬のフルーツをつかったノンアルコールカクテルを提供している」(愛知県/鉄板焼き・お好み焼き)
●飲み放題メニューとして提供する
「以前はノンアルコールビールを飲み放題メニューに入れていなかったが、『宴会の空気を乱したくない』とリクエストがありメニューに入れたところ、ノンアルコールビールが結構出るようになった」(東京都/アジア料理)
「飲み放題コースにおいてノンアルコール飲料を増やすことで、他店との差別化を図っている」(茨城県/居酒屋・ダイニングバー)
●グラスや飾りつけを工夫する
「ノンアルコールビールをワイングラスで提供。少しリッチな感じがするようで、喜んでもらっている」(東京都/専門料理)
「モクテルというノンアルコールカクテルのジャンルを打ち出し、利益につながっている。中身はただのジュースなので、提供の際はフルーツやミントなどで綺麗に盛り付けてお客様の満足度を高めている」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)
「ビール会社のロゴが入ったグラスなど、さもアルコールが入っているようなグラスで提供する」(東京都/イタリア料理)
また、今すぐ特別な工夫をすることが難しい場合でも、妊娠中の女性客などには積極的に声がけをしたり、乾杯時にお酒をオーダーしない客にノンアルコール飲料があることを伝えたりなどして売り上げにつなげる店もある。今や飲食店に「置いてあるのが当たり前」ともいえるノンアルコール飲料。ひと手間加えた内容で、客の満足度を高めていきたいところだ。(提供:Foodist Media)
執筆者:戸田千文