近年、老後に海外移住を希望する人が増えています。「周りに日本人が少ないのでしがらみも少ない」「年金で日本よりリッチな生活ができる」「異文化に触れて人生が豊かになる」などの理由から、リタイア後の海外生活に憧れを抱く人が多いようです。
しかし、憧れだけで海外移住すると「こんなはずではなかった」いう結果になる恐れも。それを防ぐには、海外移住のデメリットについても知っておく必要があります。
老後の海外移住にはデメリットがある
たとえば、移住先で日本との違いを受け入れられないと現地での生活が苦痛となります。その結果、高いお金を出して海外移住したのに日本への帰国を余儀なくされる人も少なからずいます。
老後の海外移住が成功するかどうかは、日本との違いから感じるデメリットをどれだけ受け入れられるかがカギとなります。
老後の海外移住で想定されるデメリットは3つ
老後の海外移住で想定されるデメリットを挙げてみましょう。
1.生活面のデメリット
その一つが生活面でのデメリットです。海外移住では、日本とは勝手の違う生活でストレスを感じやすくなります。
言葉の違いはもちろん、法制度や衣食住など生活に関するあらゆることが日本と違います。また、日本よりも治安がよくない国や地域も多いので、それが不安材料になりやすいでしょう。
そんな海外生活では、多様性を受け入れる柔軟性や冷静な対応力が必要となります。
2.医療面でのデメリット
病気になるリスクが高くなる老後の海外移住は、医療面でのデメリットも大きな懸念材料となります。なかでも大きいのは医療費の高さです。
日本と同レベルの健康保険制度がない分、医療費も高くなるのです。また、言葉の壁が原因で症状を正確に伝えられないと適切な治療を受けられない恐れもあります。
移住前にはそのことを想定し、海外医療保険への加入や日本語や英語が通じる病院のリサーチをしておきましょう。できれば渡航前に英語や現地の公用語をある程度習得した方がよいかもしれません。
3.お金に関するデメリット
高額なのは医療費だけではありません。生活費も日本より高くなる場合もあります。たとえば、移住先の家賃が数十万円にのぼる場合や、何人もの使用人を雇うのが当たり前の国に移住した場合は、当然生活費がかさみます。
それを知らずに移住してしまうと思わぬ費用に頭を抱えることに。そうならないためにも、移住予定の国でかかるお金の概算を出し、移住後のマネープランを立てた方がよいでしょう。
老後に快適に暮らせる海外移住先を選ぶ
移住先を選ぶポイントは4つ
以上のデメリットをふまえたうえで、老後に快適に暮らせる海外移住先を選びましょう。そのポイントは以下の4つです。
1.ビザを取得しやすい
希望の移住先があっても長期滞在ビザを取りにくい国では移住できません。できるだけビザを取得しやすい国や地域を選びましょう。
海外には通常の長期滞在ビザより取得しやすい「リタイアメントビザ」を発行している国もあります。それらの国をぜひ移住先の有力候補にいれることをおすすめします。
2.年金で生活できる
年金で生活できることも重要なポイントです。生活コストが日本より安く、豊かに生活できるかどうかがその目安となります。
たとえば、日本の3分の1程度のコストで生活できる国もあります。そのような国で暮らせばゆとりある年金生活を送ることも可能でしょう。
3.治安に大きな問題がない
治安に大きな問題がない国を選ぶのは当然ですが、同じ国でも治安状況が違う場合もあります。海外移住先を決めるにあたっては、外務省の海外安全ホームページや候補国の在日大使館ホームページ、その国に住んだことのある人の情報などをもとに、より安全に暮らせる地域を選びましょう。
4.日本人が多い地域
日本人が多い移住先もねらい目です。そのような場所は日本と同じ食材や調味料が手に入りやすくなります。また、日本人との交流で情報交換や相談などを気軽にできるメリットもあります。
ただし、日本にいるときよりも人間関係が密になりやすく、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。くれぐれも日本人というだけで信用しないようにしましょう。
おすすめは東南アジア
上記の4つの条件を満たすおすすめの移住先は東南アジアです。リタイアメントビザを発行している国も複数あり、比較的ビザを取りやすいでしょう。
また、日本と比べると生活コストがかなり安いのも大きな魅力。年金でもゆとりある生活ができる可能性が高くなるのではないでしょうか。
老後の海外移住にはデメリットを想定した準備が必要
今回は老後の海外移住の心構えについて、主にデメリットに焦点を当ててお話ししました。
「備えあれば憂いなし」との言葉通り、海外移住を決めたらデメリットを想定した準備を行いましょう。老後の海外生活を楽しくするもしないもあなた次第です。
海外移住にあたっては、滞在国の日本大使館や領事館、日本人会、そして、日本の留守家族などとすぐ連絡が取れるようにするなど、さまざまな備えをすることが大切です。
文・大岩楓/fuelle
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