車を持っている人は、毎年「自動車税」を納めなくてはなりません。ほとんど乗っていなかったとしても、車を持っているだけで納税の義務があります。そもそも、「自動車税」とは何でしょうか。もし滞納したらどうなるのでしょうか。詳しくご説明いたします。

自動車税とは

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(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)

自動車税は、自動車の所有者に課される税金です。自動車税の金額は、自動車の種別、用途(営業用、自家用)、排気量などによって異なります。例えば、自家用自動車の場合、排気量1ℓまでは29,500円、1ℓ超から1.5ℓまでは34,500円、1.5ℓ超から2ℓまでは39,500円となります。

対象となる「自動車」は、軽自動車、二輪の小型自動車、小型特殊自動車、大型特殊自動車を除いたものです。ちなみに、軽自動車、二輪の小型自動車、小型特殊自動車の所有者は、軽自動車税が課税されます。大型特殊自動車には、固定資産税が課税されます。

また、車をローンで買って払い終わっていない場合、カーディーラーなどが所有権を持っていることがあります。しかしこの場合、自動車税が課税されるのはカーディーラーではなく自動車を買った人ですのでご注意ください。

滞納を続けると財産の差し押さえも……

自動車税は、都道府県に納めなければならない地方税です。税金ですから、受領する都道府県にとっては大事な財源です。税を滞納することは、きちんと納めている他の納税者との公平性を損なうことになり、住民サービスの提供にも支障を来します。従って、滞納者に対しては厳しい対応がとられます。

もし自動車税の納期を過ぎても納めなければ、電話や書面によって都道府県から督促が行われます。それに対しても、納税しなければ数回に渡って督促が行われます。それでも応じない場合には、滞納者の勤務先、金融機関、仕事の取引先などに対して、財務調査が行われます。これは、差し押さえができる財産か確認するためです。

もし差し押さえ可能な財産があれば、都道府県の徴収員が自宅や職場を訪問し、現金や動産、自動車などの差し押さえを行います。差し押さえた動産や自動車は、公売で売却して現金化し滞納している税金に充てられます。

延滞金の計算方法は

納期を過ぎて自動車税を納める場合、延滞金が付きます。ここでは、福岡県のホームページを参考にして、計算方法を確認していきましょう。

まず、納付期限の翌日から1ヵ月を経過するまでの間に納付した場合の延滞金は、税額に年率7.3%をかけた金額とされています。ただ、銀行の新規の短期貸出約定平均金利を考慮する「特例基準割合」が採用されていて、この割合が7.3%を下回る場合には、この「特例基準割合」+1%が実際の延滞金の利率となります。

ホームページによると、2018年1月1日から2019年12月31日までの間は、年2.9%です。例えば、自動車税が34,500円として、ちょうど1ヵ月(30日)遅れで納付した場合の延滞金は、次のようになります。

・34,500×0.029×(30÷365)=82.2328…
 ※延滞金で1円未満の金額は切り捨て

従って、実際に納める納税額は、34,582円(34,500+82)。ただ、延滞金については、1,000円未満の場合は切り捨てることになりますから、実際に納める金額は自動車税の34,500円のみです。

もし1ヵ月を経過する日の翌日以降に納付すると、延滞金は年8.9%となります。例えば、ちょうど納期から1年遅れて納付した場合の延滞金は、次のとおりです。

・[34,500×0.029×(30÷365)]+[34,500×0.089×(335÷365)]
  =82+2,818(それぞれ1円未満切り捨て)=2,900

従って、実際に納める納税額は、37,400円(2,900+34,500)となります。

自動車税の免除はある?

自動車税は税金の一つですから、支払いを免除されることはありません。ただ、都道府県によっては、猶予制度を設けている場合も。例えば、一度に税金を納付することで、その後の事業や生活に支障が生じるなどの一定の要件を満たす場合には、納付期限から6ヵ月以内に都道府県税事務所へ申請することで、1年以内の期間に限り、税の納付を猶予される場合があります。

その他にも、身体に障害がある人が自動車を移動手段として使っている場合、あるいは災害や盗難などで一定期間使うことができなかった場合などは、都道府県税事務所へ申請することで、自動車税の支払いを免除されることがあります。

一方、延滞金については、先ほどご説明したように、1,000円未満の場合、支払いが免除されます。ただ、自動車税の支払い義務があり、猶予や免除の要件に該当しない場合で、期限内に納めないのであれば、基本的に延滞金の支払い義務はあると考えてください。

もし自分が猶予や免除の対象でなく、実際に一括で納めることが難しい場合には、最寄りの都道府県税事務所に相談されることをおすすめします。相談することなく、督促に対して無視し続ければ、強制執行されてしまいますので、とにかく、自分には納める意思があるということを示すことが大事です。

自動車税を納めないまま、度重なる督促に対応しなければ、強制的に財産を差し押さえられることにもなりかねません。一括納付が難しいのであれば、早めに都道府県税事務所に相談しましょう。

文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)/fuelle

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