05
(画像=iStock.com/taka4332)

賛否両論の「お通し」について店の本音は……。 最後に、お通し代を請求する店、しない店、それぞれが「お通し」についてどう考えているのか、本音を聞いてみた。

お通し代をもらっているお店の声

「ドリンクを注文しないお客さんや、ドリンク一杯だけのお客さんに平気で席を占拠されると、席料やお通し代で客単価を上げたくなる」(大阪府/居酒屋・ダイニングバー)

「日本の飲食店の値段は先進国諸国と比べて異常と言っていいほど、安すぎると感じます。本当はお通しを廃止したいのですが、見えにくい所で値段を取るしか方法がないくらいに日本の飲食店が追い詰められていると感じます」(大阪府/居酒屋・ダイニングバー)

「店の味として、認識してもらうためのものと考えています。お客さまが、お金を払いたくないのは、どうでも良いもの、美味しくないものを出しているからで、店側に責任があると思う」(東京都/和食)

「うちはお通しを3品一皿で提供。お米が売りなので、一品は必ず日替わりのお粥をつけます。お酒を飲み始める前にお粥でほっこりしてもらい、飲み進めたあとは、土鍋ご飯でしめてもらう。そこに繋がるストーリーのためのお通しです。特に何も考えずにお通しを出しているのなら、ナンセンスでは」(東京都/居酒屋・ダイニングバー)

「基本的にはなくても構わないとも思います。ただ、お客さまが手持ち無沙汰な時間を少しでもなくしたいのと、お出しするからには手の込んだ良いものをと考え、現状は提供しています。出来合いのものなどを形式上お出しするだけであれば、ないほうが良いと思います」(大阪府/居酒屋・ダイニングバー)

06
(画像=iStock.com/taka4332)

お通し代をもらっていない店の声

「お客さまには気付かれないように、スマートにサービス料を頂戴する方法はないものかと考えています。知り合いの店では、お気持ちとしてレジ横に投げ銭用の容器を用意していますが、良いアイデアだと思います」(東京都/アジア料理)

「日本ではサービスの要求レベルが高いため、何らかの形でお金をいただくことは仕方ないと思います。例えばトイレのアメニティ。私の経験上、よほどの飲食店でない限り海外では充実していません。それに比べると日本では居酒屋でも、綿棒、楊枝、マウスウオッシュなどを常備していることが多いです。無料で提供する水も、水道水をそのまま提供するわけにはいきません。浄水器の設置・フィルター交換の費用が対価として頂けないにも関わらず、無料で水を提供しなければいけない文化。その費用を賄うために、当店ではサービス料をいただいています」(東京都/フランス料理)

「お通し、サービス料、チップなど、分かりにくいものは排除して、商品代に上乗せしていいと思います。場合によっては、『サービス料をいただく』『チップを受け取る』というのはありです」(東京都/バー)

「当店は比較的ご家族連れが多く、お酒もあまり出ないので、お通しは出しておりません。でもたまに無料の水だけで長居するお客様からは、チャージ料をいただきたいとも思います。サービス料に関しては、人員がそろう高級店などと違い、行き届かない面も多々あるので、いただかない方がトラブルにならないと考えております」(東京都/中華)

「お通し」は店側にとっては客単価の向上といったメリットがあるが、客によっては快く思わないケースもある。だからこそ飲食店は、お通しの扱いについて慎重に考える必要がある。上で紹介した意見を参考にしながら、お通しについて今一度、考えてみてはいかがだろうか。(提供:Foodist Media

執筆者:戸田千文