緊迫する米中貿易協議が市場の注目を集めている中、10日には双方の合意に向けた好材料も見られ株式市場の反発が見られた。
ダウ平均株価は10日に114ポイント上昇。S&P 500は0.37%、ナスダック総合指数は0.8%上昇となった。
もちろん、この勢いが今週も続くか否か予測するのは難しい。中国が米国製品に対し報復関税を開始する場合には多くの懸念が生まれる。
不安定な状況の中、今週も決算報告が続く。注目は以下の3社だ。
1. ティルレイ
カナダの医療用大麻会社ティルレイ(NASDAQ:TLRY)は5月14日大引け後に第1四半期決算報告が予定されている。
予想売上高は2016万ドルで、予想EPSは0.27ドルの赤字。昨年10月、カナダにおいて世界で初めて娯楽用大麻が合法化されたのち、同社は市場シェアを獲得すべく尽力してきた。
ティルレイは今年2月、米国で人気のヘンプ由来のCBDや、非中毒性のTHC需要に応える地力を持ったマニトバ・ハーベストを買収した。この買収が後押しし、同社の売上高は前年の4300万ドルから少なくとも3倍になると予想されている。
しかし、ここ数か月の同社の株価は方向性に欠ける。昨年6月の新規上場の後、同社株価は昨年末に400%上昇し1株あたり300ドルの高値を付けた。一方、10日の終値は50ドルを下回っている。
同社は生産拡大のために巨額の投資を行っており、より大きな市場シェアを切り開いている。よって、我々はティルレイを発展途上の大麻業界における長期的な有望株と位置付けている。ただし、直近で黒字化の見通しがあるわけではない。
2. エヌビディア
米国大手半導体メーカーのエヌビディア(NASDAQ:NVDA)は16日大引け後に第1四半期決算報告がある。予想EPSは0.79ドルで、昨年の2.05ドルより減少するとみられる。売上高は31%減少し、20億2千万ドルの見通し。
前四半期に半導体市場の急落を経験したものの、同社の鍵となる市場であるゲームやデータ処理市場の拡大による増収が期待されている。
10日終値は168.82ドルで、12月の安値からおよそ30%回復である。
昨年需要が縮小したことを受け、同社は1月末に業績予想を下方修正している。昨年9月の292.76ドルという記録的な高値と比較すると、同株は未だ40%安となっている。
米中貿易協議が紛糾する限りは、昨年並の高値は期待できなさそうだ。
Needhamのシニア半導体アナリストのQuinn Bolton氏は先週、「半導体メーカーは中国への輸出で売上を伸ばしてきた」と記した。
「紛糾する米中貿易協議により、半導体セクターは他のテクノロジーセグメントより大きなリスクに晒されている」
3. ピンタレスト
ピンタレスト(NYSE:PINS)は18日寄り付き後に第1四半期の決算報告を行う。予想EPSはマイナス0.15ドル、予想売上高は2億40万ドル。
IPO申請書によると、同社はピンボード風のデジタルプラットフォーム事業を運営し、2018年のオンライン広告収入は対前年比60%高の7億5600万ドルとなった。
純損失は2017年の1億3千万ドルから6300万ドルへと減少した。月間アクティブユーザー数は少なくとも2億6500万人にのぼるという。
10日の終値は、IPO後最高値となった35.29ドルから約15%安の29.05ドルとなった。
デジタルマーケティング市場はすでにレッドオーシャン化しており、今後の成長性に懸念を示すアナリストも存在する。
同社の競合にはフェイスブック(NASDAQ:FB)やインスタグラム、ユーチューブ運営元のアルファベット(NASDAQ:GOOGL)等が控えている。いずれもソーシャルメディア市場の広告支出の大半を占める強豪ばかりだ。
一方、ピンタレストは写真やインテリア、ファッション、ウエディング、レシピ等のアイデアを提供するデジタル掲示板として機能する。同社は、競合ソーシャルメディア大手とは異なったセグメントにターゲットを絞っているとして自信を滲ませている。
ユーザー数と売上高共に成長が見られれば、同株の買い相場は再び活気付くだろう。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル