• 決算報告: 15日寄付き前
  • 予想売上高: 134億7千万ドル
  • 予想EPS: 0.99ドル

中国Eコマース大手のアリババ(NYSE:BABA)は15日に第4四半期決算(1-3月期) 報告を行うが、良い結果は期待されていない。

売上はいまだ堅調な中国消費者経済に支えられるという楽観的期待に基づき、同社株価は1月の安値からおよそ30%回復していた。

しかし、楽観的なシナリオは緊迫する米中貿易戦争により打ち消されいる。加えて、国内でも同業他社との競争が激化している。

トランプ米大統領は10日、2000億円相当の中国製品に対し関税を従来の10%から25%へと引き上げた。また、さらに多くの品目に対しても制裁関税を課す準備があるとしている。

これを受けアリババ株は先週5日間で8.8%安となり、178ドルで週末を迎えた。

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(画像=Investing.com)

もし米中協議が決裂し貿易戦争が本格化すれば、アリババの来年の業績見通しは下方修正され、株価の行く先も良くはないだろう。

中国経済の停滞により耐久消費財売上が押し下げられるだろう。また、アリババ副会長の蔡崇信氏によると、携帯電話等の電化製品売上の成長がすでに鈍化しているという。

また、アリババはJd.Com (NASDAQ:JD)やPinduoduo (NASDAQ:PDD)といった国内Eコマース他社との厳しい競争にも直面している。

時価総額4610億ドルのアリババは昨年10-12月期、コアとなるマーケットプレイス事業の売上が前年同期比27%増であったと発表した。これは直近3年で最も低い成長率である。

アリババの乗り越えるべきハードルは高いものの、優位性は無視できない

中国小売市場における競争は激化しているが、成長への持続的な道筋を見せることが出来ていない他社よりもアリババに期待する方が賢明だろう。

中国におけるアマゾン(NASDAQ:AMZN)と言える同社は、他のテック企業よりも投資対象として好ましいと考える。

アリババはユーザー基盤を着実に固めており、新規広告事業も波に乗っている。

同社のコアとなる小売プラットフォーム、そしてクラウドコンピューティング事業は第3四半期にそれぞれ前年同時期比40%、84%の拡大を見せた。ローカルサービスを含む「新イニシアチブ」は73%成長しており、事業多角化への見通しは明るい。

アリババは成長と多角化のチャンスに恵まれている。同社は中国国内、ヨーロッパ、中東、南アジア、東南アジアに新たにデータセンターを設立し、クラウド事業拡大に向け積極的に投資している。

中国の景気刺激策も、アリババ買いを支える一因となっている。中国新規元建て融資はは2兆元(約32兆円)に増大し、中小企業への融資額は30%増加する見通しがある。これらはすべて小売企業株にとって良い兆候である。景気刺激策によって消費者支出が加速すれば、アリババの収益性は上昇するだろう。

総括

貿易協議に関する先行きは未だ不透明なままだ。また、中国の経済成長リスクを考慮すると、中国株に投資するにはベストなタイミングではないかもしれない。

また、同じ理由から、アリババの業績見通しもさほど明るいものではないだろう。

一方で、米国のアナリストらはアリババ株に対して平均して207.57ドルの目標株価を設定し、投資判断を「買い」としている。

中国国内の独占的なポジションや経済成長性を考慮すると、長期的な投資先としてアリババは良い選択肢の一つとなるだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル