住民税の納税通知書を手にして、思わぬ高額な税額にビックリした方も少なくないのではないでしょうか。そんなときに知りたい「住民税は、分割して支払うことはできないのかな?」「そもそも住民税って、どういう仕組みで支払うことになっているの?」という疑問にお答えします。

住民税の基礎知識

住民税,支払えない
(画像=PIXTA)

給与明細を確認すると、給与から天引きされる税金は「所得税」と「住民税」の2種類に分かれています。「同じ税金なのに、なぜ別々に書かれているのだろう?」と感じたことはありませんか?

所得税は国に納める税金、住民税は住民票を置いている自治体に納める税金です。納める先が異なるだけでなく、税額の計算方法や最低課税額、徴収方法もそれぞれ異なります。

そのため、「会社を辞めて、専業主婦になってから住民税だけ納税通知書がきてビックリ」ということが起こるのです。

住民税を分割して支払いたいときに知っておくべきポイントを確認しておきましょう。

住民税の徴収方法は2つ

所得税の場合、先に「これくらいの税金になるはず」という概算を毎月徴収して、年末に精算するという方法で税金を納めます。それに対し、住民税は昨年の所得に対して、キッチリ計算された額を後払いで納めます。

「新入社員のときより、2年目の方が、手取りが少ない……」ということが起こるのは、1年目にはなかった住民税の徴収が2年目にはじまるからです。

この後払いという仕組みのため、住民税には2つの徴収方法があります。それぞれ、「特別徴収」「普通徴収」と呼ばれます。

なんとなく「特別」の方が難しそうなイメージですが、実際は「会社が代わりに住民税納付を行ってくれるのが特別徴収」「自分で納付しなければならないのが普通徴収」です。

それぞれの納付方法について確認しましょう。

特別徴収

特別徴収とは、事業主(会社などの給与を支払う者)が、所得税と同じように、毎月の給与を支払うときに、あらかじめ昨年度の個人住民税を12ヵ月で割った金額を天引きし、住民税を支払う義務のある従業員の代わりに、県や市町村に毎月納入する制度のことをいいます。

地方税法第321条の4及び各市町の条例の規定で、原則、所得税の源泉徴収をする全ての事業主(特別徴収義務者)に住民税の徴収実施が義務づけられています。

そのため、事業主や従業員の希望によって、個別に普通徴収を選択できるものではありません。

普通徴収

個人事業主や公的年金所得者、専業主婦(主夫)など、毎月の給与から住民税を差し引くことができない方は、特別徴収はできません。

その場合に行われるのが普通徴収です。

特別徴収が1年分の住民税を12ヵ月に分けて、給与天引きで納付するのに対し、普通徴収は4期に分けて年に1回6月ごろに、お住まいの市町村から送付される納税通知書で金額を確認し、納付書を使って納付します。

なお、4期といっても単純な「3ヵ月に1回」ではなく、あらかじめ決められた納付期限を守らなくてはなりません。

1期……6月(納期限は6月末日)
2期……8月(納期限は8月末日)
3期……10月(納期限は10月末日)
4期……翌年1月(納期限は1月末日)

4期に分けず、1期の納期限にまとめて全期分支払うことも可能ですが、一括で支払うことによる割引などの制度はなく、4期に分けても全額支払いをしても、総支払額に変わりはありません。

納付書は、コンビニなどで受付可能なバーコードが印字してある用紙です。

市町村ごとに指定された金融機関の窓口、コンビニエンスストア、市役所の担当部署での現金払いでは、手数料もかかることなく支払いが可能です。

「旅行先でたまたま思い出したから支払いをしておこう」などと地元以外の金融機関に依頼をすると、数百円の振込手数料を支払わなくてはならないケースもあります。

現金以外で支払える方法

一般的に、所得金額に関わらず、市町村ごとに課税所得の10%前後の住民税を負担しなければなりません。

「去年はフルタイムワーカーで、今年は勉強に集中するために会社を辞めた」といったケースでは、数十万円もの住民税の納付書が送られてくる可能性もあります。

「納付期限までに現金を用意することが難しい」
「もう少し振り込みが先なら、定期を満期で解約できるんだけど……」

という方は、お住まいの自治体が「クレジットカード払い」に対応しているかを調べましょう!

クレジットカードなら決済した日よりも引き落とし日が先になるうえ、分割払いが利用できるカードもあります。さらに、クレジットカードの利用ポイントが付与されたり、クレジットカードで使えるポイントを税金支払いに使えたりするというメリットもあります。

ただし、自治体によってクレジットカードでの支払いの可否、使えるクレジットカードや仕組みが異なります。

「自治体名 市民税 クレジットカード」で検索し、確認してみましょう。

通知書通りに支払えないときはまず相談しよう!

病気療養や介護といった理由で離職したなど、どうしても通知書の期日までに支払いをすることが難しい場合は、放置せず、まずはお住まいの市区町村の市民税課・納税課に相談に行きましょう。自治体によって、支払期間の猶予などに対応できるケースがあります。

いずれにしても、放置したり、ひとりで抱え込んで身動きが取れなくなったりすることがないように、「お仕事を辞めたときは、翌年に前年分の住民税の請求がまとめて来る」ということをしっかり覚えておきましょう。

文・沼田絵美/fuelle

【こちらの記事もおすすめ fuelle】
せこくない、苦しくない、続く「節約術」まとめ
これで10%オフ!デパコスのオトクな買い方3選
免税店でさらにお得に買い物する3つの裏ワザ
イオン系列の株主優待「徹底活用術」生活費を浮かせる3つのポイント
えっ、知らないの?ヨーロッパでオトクに買い物できる「デタックス」活用法