ゼロ金利政策が長期化して銀行預金に期待できない状況が続いているからこそ、注目されているのが、「外貨建MMF」だ。同じ外国為替を扱う外貨定期預金などとの違いは?外貨建MMFにはどのようなメリットやデメリットがあるのか?

外貨建MMFは外貨建ての投資信託

外貨,mmf,メリット,デメリット,投資,初心者
(画像=RomanR/Shutterstock.com)

外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは外貨建投資信託の一種で、投資対象が外国優良企業の短期金融商品や格付けの高い公社債などに限定されており、投資元本の維持や安定的な運用を目指した商品である。

外貨建MMFの3つのメリット 安定的な運用、為替スワップの安さなど

メリット1 安定的な運用に好利回りが魅力

MMFは為替変動リスクはあるが、比較的リスクが低い投資信託であるため、定期預金に預ける感覚で投資できる。外貨建MMFの金利は各国の市場金利に連動しており、金利が高い国の通貨でMMFを購入すれば、日本の定期預金より好利回りの運用が期待できる。

2019年5月20日現在において、ネット証券最大手SBI証券の外貨建MMFの平均年換算利回りは、豪ドル 1.022%、NZドル 1.027%、米ドル 1.788%~2.034%、カナダドル 0.839%、トルコリラ 20.771%、南アフリカランド 6.205%となっている。

外貨建MMFでは運用実績に応じて支払われる分配金が毎月末に再投資されるのだが、この複利効果で利回りがアップする点も外貨定期預金にはない大きな魅力だ。

メリット2 外貨定期預金に比べて為替スワップが安い

2019年4月3日現在で、三菱UFJ銀行の外貨預金の為替手数料(片道)は米ドルだと窓口で1円、インターネットバンキングで25銭である。それに対して主要ネット証券で為替スワップ(手数料)が最安値のカブドットコム証券では、外貨建MMFの為替スワップ(片道)は米ドルで20銭。

外貨建MMFは投資信託とはいえ、外貨定期預金同様に取引手数料は無料であるが、為替スワップは必ず発生するため、コストを抑える意味からも必ずチェックしておきたい。

メリット3 購入・売却のしやすさ

買付単位は証券会社によって異なるが、米ドルMMFを少額で買付できるマネックス証券では、米ドル決済なら1,000円相当、円決済なら1,000円から購入できる。この程度の投資額であれば外貨建金融商品に対して不安がある人でもお試し感覚で投資を始められる。

外貨定期預金のように預入期間が定められていないのも、気軽に外貨建MMFに投資できる理由のひとつだ。毎月末に分配金が支払われるので、インカムゲインを確保しながら思い立った時にいつでも売却できる。

税金面での煩わしさがないのも大きなメリットで、売却時の譲渡益や為替差益は申告分離課税の対象であり、原則確定申告が必要になる。

しかし外貨建MMFを証券口座の特定口座(源泉徴収あり)を指定して管理すれば、譲渡益や為替差益は源泉徴収される。譲渡損や為替差損が出た場合は、同じ特定口座内の上場株式の譲渡益や分配金などと自動的に損益通算されるので、税金の払い過ぎも避けられて手間もかからない。

外貨建MMFは資産保護の対象

外貨普通預金や外貨定期預金は銀行の預金保険の対象外であり銀行破綻時には保護されない。一方、外貨建MMFは証券会社での分別管理が定められており、証券会社が破綻した場合には、上限1,000万円まで日本投資者保護基金によって補償される。万が一の場合でも資産が保全されるので安心して購入できる。

外貨建MMFのデメリットは為替変動と金利変動リスク

外貨建MMFは外国為替を利用した商品なので、為替変動の影響が避けられず場合によっては投資元本を割り込むリスクがある。

さらに投資信託の性格上、組み込まれている公社債の値動きや金利の下落、発行者の財務状態悪化などによる信用力の低下によって基準価額が下がり、投資元本割れが生じることもある。

ローリスクのMMFを利用した金融商品ではあるが、為替変動と金利変動、信用リスクには注意を払う必要があるだろう。

リスクを避けるには購入・売却を問わず相場環境が悪い時期の為替取引を避けて、相場の好転を待ってから取引をする。売却時期に円高水準にあれば外貨決済にして、外貨のまま他の外貨建金融商品を購入する。円安傾向になってから円に交換する、あるいは為替変動リスクを分散させるために外貨建MMFを月々の積立で購入するなどの対策が必要だろう。

安定的に着実に増やしたい人の選択肢

超低金利の銀行預金から元本保証まではいかなくとも、リスクを抑えながら好利回りで着実に資産を増やせる金融商品に乗り換えたいのならば、外貨建MMFは非常に現実的な選択肢のひとつで、将来的な資産形成の大きな転機になるかもしれない。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

【関連記事 MONEY TIMES】
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング
ネット証券比較――手数料、ツール、シェア数ランキング
ネット証券会社比較 手数料の安い4社
証券会社のネット口座開設数ランキング1位は?上位5社
ネット証券会社のシェアランキング1位はSBI証券