高級車やクルーザー(大型のヨットやモーターボートなど)は、企業や自営業者が利益を圧縮したいときの節税商品としてよく利用されています。なぜなら、購入額が高く法定耐用年数が短いため、1年当たりの経費計上額が大きくなりやすいからです。高級車とクルーザーでは、どちらのメリットが大きいのでしょうか?ここでは、「節税」「用途」「維持管理」の3つの視点で比較していきます。
法定耐用年数と購入額(経費計上できる額)の比較
まず、法定耐用年数で比較するとクルーザーが4年、普通自動車が6年(新品の場合)です。耐用年数が短いのはクルーザー。このため、同じ額であればクルーザーのほうが単年での経費計上額は多くなります。一方、価格面を比較すると、かなり開きがあります。高級車の代表といえばメルセデス・ベンツですが、価格は上位車種のSクラスセダンでも1,000万円台で購入できます。
もう一方のクルーザーは、十数名以上が乗れるタイプなら数千万円以上が中心です。多様なタイプがあるものの、一般的には高級車より割高といえるでしょう。そのため、経費計上という軸のみで比較すると、より法定耐用年数が短く、より価格が高いクルーザーのほうが減価償却費を多く計上できます。
用途(営業や福利厚生の効果)の比較
高級車やクルーザーを購入したときは節税効果だけでなく、それによる営業や福利厚生の効果も大事です。高級車は、役員の送迎の他、幹部クラスや役職者の営業車として日常的に利用できます。これに対してクルーザーは接待や、従業員への福利厚生に時々利用するなどかなり限定的です。また、全天候で利用できる車に対し、クルーザーは台風など荒天時に使用しにくいなどの制限があります。
接待に利用する場合は、寒冷時期も難しいでしょう。福利厚生の利用では、高級車は活用しにくいといえます。クルーザーは、企画力のあるアクティブな企業であれば、ある程度のコストパフォーマンスが期待できるでしょう。忘年会、お花見、打ち上げ、社員の誕生日パーティーなどさまざまなシーンで活用できます。
維持管理費用の比較
維持管理費用は、使用頻度や管理する場所によって変わってくるため、単純比較はできません。例えば、クルーザーのコストでボリュームが大きいのは保管料です。クルーザーの大きさのほか、陸上に保管する陸置・マリーナの海上に保管する係留保管など停め方でも保管料が変わります。海という特別な場所で管理する分、駐車場よりかなり高くなります。ただし、車でも都心の一等地などで駐車場代が極端に高ければ、コストが重くなることもあるでしょう。
さらに、車は使用頻度が多いので、その分故障や修理部分の発生などのリスクが高くなります。この修理費用を成り行きで計上しないために、はじめからメンテナンスサービスが組み込まれた購入方法を利用することも一つの方法です。例えば、メルセデス・ベンツが実施している「メルセデス・ケア」では、新車購入から3年間に限り、一般保証修理、定期メンテナンス、地図データ更新が無料で提供されます。
※比較する車種や年度によっても異なりますので、参考程度にお考えください。
クルーザー所有でステータスが増す効果も?
以上、3つの観点から高級車とクルーザーを比較しましたが、重視するポイントによってメリットは異なるので、一概にどちらが有利とは断定できません。経費計上額の大きさで選ぶならクルーザー、購入後の営業・福利厚生への貢献やメンテナンス費用など、バランスを重視するなら高級車が有利といえるでしょう。
また、考えようによってはクルーザーを所有しているだけで、企業としてのステータスが増す効果もあるでしょう。イメージ戦略などにうまく活用してビジネスへのプラス効果が生まれれば、むしろ安い買い物といえるのかもしれません。(提供:Wealth Lounge)
【オススメ記事 Wealth Lounge】
・相続対策は「不動産評価」が決め手!その3つの具体策
・ビジネスジェットはなぜ日本で広がらないのか?3つの誤解を解く
・世界が混迷する今だから学びたい投資の原則!「相場の神様 本間宗久」の言葉
・企業もふだんの行いが見られる時代!投資の評価軸として広がる「ESG」とは?
・「相続対策の不動産投資」と「通常の不動産投資」。決定的な違いとは?