代々に渡って土地を所有していらっしゃる地主にとって、土地を所有していることは大きな武器となりますが、その一方、資産を守り、後継者へ引き継いでいかなければならないという問題は大きな悩みのひとつでもあります。そこで大切なのが相続税対策です。相続税対策として、納める税金をなるべく少なくすることは大切ですが、資産の価値そのものを下げてしまっては意味がありません。長期スパンで考えるならば、「資産価値の維持」という観点を持って不動産での相続対策を考えましょう。

地方と都心の「不動産格差」はこれからどうなる?

地主,不動産買い替え
(写真=PIXTA)

不動産の有効活用といえば、持っている土地を貸したり、アパートを建てたりすることをイメージされるかもしれません。たしかに、貸家建付地が相続税評価額をひき下げる効果は大きいものです。しかし、資産価値を維持できるかという点では懸念があります。

所有している不動産の価値を下げない不動産運用が必要

例えば、現在の価値が3億円の土地があったとします。一方は、将来も3億円を維持もしくは下がりにくいエリア、もう一方は土地の価値が将来的に1億円まで下がってしまうエリアがあったとしたらどうでしょうか。このとき、土地の価値自体が下がってしまうと、受け継ぐ財産そのものも実質的に減ってしまいます。

多くの資産を持っている人は、価値を下げない「不動産運用」を考える必要があるのです。では、どうすれば資産価値を維持できるのでしょうか。それは価値の下がらない、もしくは価値の下がりにくい可能性のある地域の不動産を持つことです。まっさきに挙げられるのは都心、特に東京です。

人口の増減は不動産の収入に影響を与える

地価の格差は、東京と地方でより顕著になりつつあります。国土交通省の「平成30年地価公示の概要」によると、全国の住宅地の地価変動率を1年単位で見たとき、2014~2018年にかけて上昇したのは直近の0.0%(2017年)と0.3%(2018年)の2回のみです。一方、東京都は2014年以降連続して1%以上地価が伸び続けています。

東京の地価が上がっている主な要因は人口の増加です。総務省統計局の「都道府県別人口と人口増減率」によると、2009年と2014年の国勢調査で人口が増えたのは8都県のみ。人口増減率の全国平均マイナス0.8%に対して、東京都は2.7%と、沖縄県に次ぐ人口の上昇を見せています。人口の増減は、不動産による収入にも影響します。なぜなら、空室が発生しにくく賃料設定も高めにしやすいからです。

東京に不動産を買うことで資産の減少のリスクを回避

所有する土地が地方に集中している場合、資産全体が大きく減少する可能性があります。このリスクを回避する有効な方法は東京の不動産の購入です。現金をあまり持っていない場合も、既存の土地を担保にすれば、金融機関から融資を受け、物件を購入することが可能です。昨今はあまり多くの資産を持たない会社員や公務員の方が、給料収入に対する信用をもとに融資を受け、土地付きのマンションやアパートを買う不動産投資が多くみられます。この場合、審査で重視されるのは勤め先や年収など、サラリーマンとしての属性です。

しかし、すでに土地をお持ちの場合は、これに対する信用を活用し、資産を拡大することができます。これは地主ならではの資産形成方法です。

買い替えで資産を東京に集中させる方法もある

もうひとつの方法として、既存の土地を売却し、都心に不動産を買う「買い替え」が挙げられます。今の土地を所有し続けることにこだわりがないのであれば、都心の不動産への買い替えを行った方が、資産全体の価値を将来にわたって効果的に保ち続けることができます。不動産の買い替えという方法であれば、地方の地価が下落したとしてもその影響を受けることがありません。

思い切って資産を東京に集中させることで、次の世代に潤沢な資産を残せる可能性があります。都心は不動産価格が高いため、土地の広さは縮小する場合が多いでしょう。しかし、例えば地方にある2,000平方メートルで3億円の土地を売り、そのお金で東京に500平方メートルの土地を買ったとします。この時点における価値はどちらも3億円ですが、20年後には大きな差がついている可能性があります。極端にいえば地方が2億円、東京は3億円の価値を維持しているかもしれないのです。

不動産の買い替えによって相続時に大きな差が出る可能性は高い

地価と人口の動きから見ると、東京における不動産の価値は今後も伸びていく可能性が高いといえるでしょう。次の世代に多くの資産を残したいのであれば、地方の土地を売却し、都心の不動産を買う「買い替え」という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。(提供:ユニバーサルトラスト

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